SR-370Dの写真
Aurex SR-370D/SR-370DL
DIRECT DRIVE PLAYER ¥64,800/¥57,800(カートリッジなし)

1975年にオーレックス(現東芝)が発売したプレーヤーシステム。当時ハイコストフォーマンスな実力機として
出されていたSR-355D(¥44,800)を強化したモデルで,クラスを超えた重量級キャビネットをもつ,価格を
超えたしっかりした内容の実力機でした。

SR-370Dの最大の特徴は,強靱な防振キャビネットを開発し,使用していたことでした。オーレックスが音響
素材として新たに開発した「A・D(アコースティック・ダンピング)ソリッド」製のキャビネットは高剛性で重量のあ
る新素材でした。人造大理石を思わせる合成樹脂で,比重は合板の3〜4倍あり,内部損失は合板なみで,
アルミダイカスト等の金属に近い剛性とウッドキャビネットなみの内部損失という優れた素材でした。当時,オー
レックスは,この素材をスピーカーバッフルにも採用したほどでした。合成樹脂であるため,形,色,仕上げの
自由度が高く,成型によって形が決められるため,箱形キャビネットではなく,文字どおりソリッドな一体型キャ
ビネットにでき,パーツに合わせた剛性の高い構造が実現されていました。
この強固なキャビネットに大型のインシュレーターを組み合わせることで,すぐれたハウリングマージンが得られ,
安定したレコード再生が実現されていました。


A・DソリッドSS-370S

ターンテーブルは,直径31cm,重量1.6kgのアルミダイカスト製で,その慣性質量により安定した回転を実現
していました。また,ターンテーブル外周にはストロボパターンが付けられ,付属したイルミネーターにより回転が
みやすくなっていました。駆動方式は,ダイレクトドライブで,DCサーボモーターが搭載されていました。

トーンアームは,スタティックバランスのS字形で,SR-370DにはMM形カートリッジC-210Mが搭載されてい
ました。アーム部はユニバーサルアームとして,4g〜20gの重量の幅広いカートリッジに対応していました。

SR-355Dの写真
Aurex SR-355D
DIRECT DRIVE PLAYER ¥44,800

SR-370Dの原型となったSR-355Dは,重量があってハウリングに強く,使いやすい大きさに抑えるという
オーレックスの設計思想が表れた1台で,要所要所に工夫して剛性を確保した重量級設計で,プレーヤーボ
ードはスチールボード製で,スリムな外観に似合わずプレーヤー全体で12kgの重量をもっていました。
SR-370Dでは,さらにA・Dソリッド製の重量級高剛性キャビネットの採用により,見かけからは想像できない
ほどの15.1kgの重量に達していました。
この設計思想は後に小型ながら超重量級のSR-M99につながっていきました。

あまりアナログプレーヤーの分野では目立たなかったオーレックスですが,SR-370Dは,一般の家庭で使い
やすくしかも音の良いプレーヤーを実現しようとした1台でした。しっかりした内容を使いやすい大きさに凝縮した
実用的な実力機のプレーヤーだったと思います。
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
 


防振キャビネットで
脱ハウリングを目ざしたDDプレーヤー。
◎A・Dソリッドキャビネット。
◎駆動モーターにDCサーボモーターを使った
 ダイレクトドライブ方式。
◎使いやすいMM形カートリッジ付。(SR-370のみ)
◎床やラックを伝わってくる振動を吸収する
 インシュレーターを装備。
◎針圧印加は針圧直読式。
◎ストロボパターン付アルミダイカスト・ターンテーブルと
 ストロボが見やすいイルミネーター付。
◎331/3,45回転各速微度調整ツマミ付。


●SR-370,SR-355の規格●
 
 
 

■フォノモーター,ターンテーブル■

 
SR-370
SR-355
モーター DCサーボモーター DCサーボモーター
駆動方式 ダイレクトドライブ ダイレクトドライブ
回転数 331/3,45rpm 331/3,45rpm
ワウ・フラッター 0.04%(WRMS) 0.04%(WRMS)
SN比 60dB以上 60dB以上
ターンテーブル 31cmアルミダイカスト1.6kg 31cmアルミダイカスト1.6kg

 

■トーンアーム■

 
SR-370
SR-355
形式 スタティックバランスS字形 スタティックバランスS字形
実効長 237mm 222mm
トラッキングエラー +2°,−1°30’ ±2°
オーバーハング 15mm 14mm
針圧可変範囲 0〜4g 0〜4g
取付カートリッジ自重 4〜20g  

 

■カートリッジ■

形名 C-210M
形式 MM形
周波数特性 20〜20,000Hz
出力電圧 3mV(1kHz・50mm/s)
セパレーション 20dB
チャンネルバランス 1dB(1kHz)
コンプライアンス 10×10−6cm/dyne
針圧 1.5g
推奨負荷抵抗 50kΩ
供給直流電圧 6〜9V
交換針形名 N-210C(2,000円)
針先 0.5mil
自重 5.3g

■その他■

 
SR-370
SR-355
電源 AC100V,50/60Hz AC100V,50/60Hz
消費電力 4W 4W
外形寸法 473W×377D×163Hmm 471W×373D×183Hmm
重量 15.1kg 12kg
※本ページに掲載したSR-370,SR-355の写真・仕様表等は1975年
11月のAurexのカタログより抜粋したもので,東芝株式会社に著作権が
あります。したがって,これらの写真等を無断で転載,引用等をすることは
法律で禁じられていますので,ご注意ください。
 
★メニューにもどる             
  
   
★アナログプレーヤーPART3のページにもどる
 
 

現在もご使用中の方,また,かつて使っていた方。あるいは,思い出や印象のある方
そのほか,ご意見ご感想などをお寄せください。                     

メールはこちらへk-nisi@niji.or.jp
inserted by FC2 system