Aurex SR-410E
DIRECT DRIVE PLAYER ¥74,000
1974年に,オーレックス(東芝)が発売したプレーヤーシステム。光を利用したサーボ技術など,独自の技
術を搭載したダイレクトドライブプレーヤーシステムで,当時の同社のトップモデルSR-510Eの弟機でした。

ターンテーブルには,30cm口径のアルミダイカスト,重量1.2kg,慣性質量170kg・cm のものを搭載
し,原理的にトルクむらが少なく回転の滑らかなエディカレントACサーボモーターで駆動していました。
サーボシステムには,上級機のSR-510Eと同じく,オーレックス独自の「光電形サーボシステム」が採用さ
れていました。ターンテーブル下部の回転軸部に回転軸といっしょに回転する精密スリット板(円板)があり,
光を通す部分と通さない黒い縞模様の部分がそれぞれ等間隔に設けられ,この円板を挟むように,受光部
となる感光素子CdS(硫化カドミウム)を用いた光センサーと灯光部が設置されていました。




ターンテーブルが回転すると,光はパルス状に明滅する(遮られる)ことになり,このスリットを通過する光の
変化をCdS光センサーでキャッチし,周波数の変化としてとらえるようになっていました。検出されたパルス
は増幅され,マルチバイブレーターで波形を整えたあと,積分して直流電圧に変え,この電圧と基準になる
電圧を比較し,この差電圧を増幅してスイッチング回路に送り,モーターの駆動電圧をコントロールするとい
う仕組みになっていました。光はその特性として,応答速度が速く,正確であり,精度の高い制御が実現さ
れていました。
こうしたターンテーブル駆動系は,SN比60dB以上,ワウ・フラッター0.03%(WRMS)以下というすぐれ
た特性を実現し,起動も1/2回転以内で定速に達する起動特性を可能としていました。

ターンテーブル下部にはストロボパターンが刻まれており,ミラーとイルミネーターを使って回転の正確さが
視認できるようになっていました。331/3回転,45回転の切替えはブレーキ機構が搭載され,SR-510E
のタッチスイッチではなくプッシュボタンになっていました。そして,それぞれの回転数ごとに±4%の微調整
が装備されていました。

トーンアームは,スタティックバランス方式,有効長237mmのS字型パイプアームで,マニュアル式で,オイ
ルダンプ式のアームエレベーションが装備されていました。
トーンアーム付属カートリッジは,SR-510Eのようなコンデンサー型ではなくオーソドックスなMM型カート
リッジのC-210Mでした。C-210Mは,高級品ではないものの,0.5milの丸針で1.5gの軽針圧,3mV
の高出力をもった使いやすいMM型カートリッジでした。



キャビネットは高級感のあるウッドキャビネットで,ウッドキャビネットにターンテーブルユニットを装着したよう
な形のシステムプレーヤー的な外観を持っていました。インシュレーターは高さ調整が可能で,システムの水
平調節が確認できる水準器が付属していました。また,キャビネット上部には,カートリッジスタンド(2個分)
と小物皿がついていました。このデザインは,SR-510Eと共通のものでした。

以上のように,SR-410Eは,オーソドックスな落ち着いたデザインの中に,光電形サーボなど,オーレックス
独自の技術も投入し,オーソドックスに性能を高めた使いやすいプレーヤーでした。当時,オーレックス自身が
「SR-510Eと双子のようなシステム」と称していたように,付属カートリッジがコンデンサー型ではなくMM型
であること,回転数切替えが,電子式のタッチスイッチではなくプッシュボタンであること以外,ほぼ同一の内
容を持ったプレーヤーシステムで,コストパフォーマンスにすぐれた1台でした。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



光電形サーボのダイレクトドライブ。


◎精度の高い光電形サーボシステム
◎使いやすいMM形カートリッジ付。

◎軽快なプッシュボタン速度切換
◎床やラックを伝わってくる振動を
 吸収するインシュレーターを装備。
◎プレヤーシステムの水平調節が確認
 できる水準器付。水平の調節は高さ
 調整ができる4本の脚で行えます。
◎反射鏡を使用したミラー式ストロボと
 イルミネーター付。

カートリッジ・スタンド(2個分)と
 小物皿を装備しています。



●SR-410Eの規格●
 
 

■フォノモーター,ターンテーブル■

モーター ACサーボモーター
駆動方式 ダイレクトドライブ
回転数 331/3,45rpm
ワウ・フラッター 0.03%(WRMS)
SN比 60dB
ターンテーブル 30cmアルミダイカスト1.2kg
慣性質量170kg・cm

■トーンアーム■

形式 スタティックバランスS字形
実効長 237mm
トラッキングエラー +1.5°,-0.5°
オーバーハング 15mm
針圧可変範囲 0~4g

 

■カートリッジ■

形名 C-210M
形式 MM形
周波数特性 20~20,000Hz
出力電圧 3mV(1kHz・50mm/s)
セパレーション 25dB(1kHz)
チャンネルバランス 1dB(1kHz)
コンプライアンス 10×10-6cm/dyne
針圧 1.5g
推奨負荷抵抗 50kΩ
交換針形名 N-210C
針先 0.5mil
自重 5.3g

 

■その他■

供給電源 AC100V,50/60Hz
消費電力 14W
外形寸法 550W×414D×190Hmm
重量 12kg
※本ページに掲載したSR-410Eの写真・仕様表等は1975年11月の
Aurexのカタログより抜粋したもので,東芝株式会社に著作権があります。
したがって,これらの写真等を無断で転載,引用等をすることは法律で禁
じられていますので,ご注意ください。
 
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