ＳＯＮＹ　ＳＳ-５ＧＸ
２ＷＡＹ　ＳＰＥＡＫＥＲ　ＳＹＳＴＥＭ　￥３２，０００

１９７９年に，ソニーが発売したスピーカーシステム。高さ２４ｃｍほどの小型スピーカーながら，
同社の主力「Ｇシリーズ」の系譜を受けつぐ本格的な設計と作りが各部になされ，サイズを超
えた本格的なスピーカーシステムとして発売された１台でした。

ＳＳ-５ＧＸは，２ウェイの密閉型エンクロージャーを持つスピーカーで，ウーファーには，１３ｃｍ
口径のパルプコーンユニットが搭載されていました。素直な音色を出す素材を吟味したコーン
紙を採用するとともに，特殊ゴムエッジにより大振幅時のリニアリティを向上させ，小口径なが
ら力強さや伸びの良さを感じさせる低音を実現していました。
トゥイーターは，２．５ｃｍ口径のソフトドーム型で，振動板にはヨーロッパから求めた特殊フィ
ルムを採用し，耳障りなピークを抑え，繊細で明るい自然な中高音を実現していました。

エンクロージャーは，小型ながら本格的な作りの木製のエンクロージャーを採用していました。
小型のスピーカーシステムでは，樹脂やダイキャストなどが使われる場合も多く見られますが
あえて木製としていました。小型のスピーカーでも，音響エネルギーの内圧は大きなものとな
り，共鳴も抑えきることはできません。それ故に，エンクロージャーの材質による固有の響き
が自然な響きとなりやすい木を採用していたということでした。
ユニットの配置は，「Ｇシリーズ」より「ＰＬＵＭＢ　ＩＮ　ＬＩＮＥ（プラムインライン）方式」が受け継
がれ，音圧の逆２乗特性により各ユニットの実効音源位置を割り出し，左右のみでなく前後方
向も等価音源を鉛直線上に揃え，定位感を向上させていました。



エンクロージャーのもう一つの特徴として，背面にヒートシンクが設けられていることがありま
した。アンプ内蔵のアクティブスピーカーでは，アンプ放熱のためのヒートシンクが装備されて
いる例は多く見られますが，アクティブスピーカーではないＳＳ-５ＧＸにヒートシンクが装備され
ていました。ＳＳ-５ＧＸくらいの小型のエンクロージャーのスピーカーでは，ボイスコイル付近の
温度は１６０℃にも達することがあるということで，長時間パワーをかけ続けるとボイスコイル
自体はもちろん，コーン紙との接続部など各部のパーツの寿命に影響することがあるというこ
とでした。そこで，ボイスコイル付近の熱をヒートパイプでヒートシンクに伝えて放熱するという
異例の構造となっていました。

ネットワークは，しっかりした内容のものが搭載されていました。ウーファーに入るインダクター
にはコアボリュームが大きく線径の太いものを使用し，トゥイーターに入るコンデンサーにはマ
イラーコンデンサーを使用していました。



以上のように，ＳＳ-５ＧＸは，小型スピーカーながら，本格的な設計と作りで，しっかりした再
生音を実現していました。ソニーとしては，単品コンポーネントとして発売していましたが，
当時の同社の小型システム「ＰＲＥＣＩＳＥ（プリサイズ）」との組み合わせ例を示し，大げさで
ない形で良い音を聴こうという提案もしていました。


ＳＯＮＹ　ＳＳ-３ＧＸ
２ＷＡＹ　ＳＰＥＡＫＥＲ　ＳＹＳＴＥＭ　￥２３，０００

ＳＳ-５ＧＸには，弟機としてＳＳ-３ＧＸも発売されていました。ＳＳ-５ＧＸに比べ，ウーファー
口径が１０ｃｍと小さくなり，それに伴い，エンクロージャーも幅と奥行きが小さくされていま
した。そして，エンクロージャーは，密閉型ではなくバスレフ型となっていました。



ウーファーからヒートパイプを使っての放熱は継承されていましたが，ヒートシンクは設け
られず，バスレフダクトの空気の流れを利用して放熱するようになっていました。
ネットワークもパーツや構成に違いがあり，新開発のケミカルコンデンサー，オリエントコ
ア入りのコンデンサーなどが用いられていました。

以下に，当時のカタログの一部をご紹介します。

小さく，シックな，音の贅沢。
ソニーのミニスピーカー。

シックで緻密な音場描写
５ＧＸ
音に腰があり，アンサンブルの解像の良さはミニスピー
カーとは思えないものがあります。

音にのびやかな，美しさ
３ＧＸ
バスレフ型で，音ののびやさかという点では５ＧＸをもしの
ぐものがあります。

●主な規格●

※本ページに掲載したＳＳ-５ＧＸ，ＳＳ-３ＧＸの写真・仕 様表等は
　１９７９年３月のＳＯＮＹのカタログより抜粋したもので，ソニー株式
　会社に著作権があります。したがって，これらの写真等を無断で
　転載，引用等をすることは法律で禁じられていますので，ご注意
　ください。

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