SONY SS-R5
2WAY SPEAKAER SYSTEM ¥39,000
1979年に,ソニーが発売したスピーカーシステム。ソニーは1976年にSS-G7を発売し,新たな
3ウェイスピーカーのシリーズとして「Gシリーズ」をスタートさせ,スピーカーの分野でも一定の評価
を得ることとなりました。そして,1978年には,新たに2ウェイスピーカーのシリーズとして「Vシリー
ズ」をスタートさせました。その後継機ともいえる2ウェイスピーカーのシリーズが「Rシリーズ」で,そ
の最上級機がSS-R5でした。
SS-R5は,「Vシリーズ」のトップモデルSS-V4と同様に,30cmという大口径のウーファーを搭載
した2ウェイシステムとしてまとめられていました。2ウェイバスレフ型として,定位の良さや軽快な鳴
りっぷりを求めた設計が特徴でした。
ウーファーは,30cm口径のストレートコーンで,カーボンを混抄した,ソニーの自慢のCARBOCON
ユニットでした。コーン紙を漉く抄紙機の開発からスタートし,抄紙方法から,成形,熱処理に至るま
で検討が加えられたもので,同心円状のリブコルゲーションを施され,CARBOCONならではの剛
性の高さと内部損失が両立されたコーンユニットでした。コーン紙に特殊含浸加工を施すとともに,
形状の決定にもNASTRAN(アポロ計画等の宇宙開発の中で,宇宙船の複雑な形状の力学的挙
動を解明するために用いられたコンピューター技術・プログラム)が応用され,聴感との両面から形
状が決定さていました。さらに,特殊エッジとハイリニアリティダンパーを採用することで,ユニットの
最低共振周波数が23Hzに下がり,しなやかな動きが実現されていました。
トゥイーターは,5cm口径のバランスドライブ型ユニットでした。このバランスドライブ型は通常のコー
ン型より大きなセンタードームを持ち,有効面積を小さくした形のユニットで,ソニーが「Gシリーズ」よ
り以前のスピーカーシステムから採用していた形式でした。振動板は,軽く剛性の高いチタン製で,
すぐれた過渡特性を実現していました。そして,トゥイーターには,0dB~-50dBの連続可変のレベ
ルコントロールが装備されていました。
トゥイーターには,鋭い指向性を持ちやすい高域成分を拡散して,指向性を拡大し,実使用時に使い
やすくし,雰囲気感,臨場感を豊かにするためのアコースティックレンズ(音響レンズ)が搭載されてい
ました。SS-R5のアコースティックレンズは,少しずつ径を変えた丸い穴の開いたパンチングメタル
を重ねた形の「パーフォレイテッド」というタイプで,JBLが開発したもののアレンジともいえるもので
した。
JBL HL88 HL87
HIGH FREQUENCY LENS ¥130,000,¥21,000
エンクロージャーは,高さ64.5cmに及ぶかなり大型のバスレフ型で,エンクロージャーの角板面の
輻射周波数を高速フーリエ変換により算出し,それをコントロールすることで箱鳴りを抑える設計が
行われていました。
以上のように,SS-R5は,当時の主力の「Gシリーズ」とは違った2ウェイシステムならではの魅力を
もつスピーカーとして作られていました。新たにチタン素材のトゥイーターとアコースティックレンズを
搭載するなど,「Vシリーズ」から技術的な強化が行われており,クリアでスケールが大きく,繊細さ
よりも鳴りっぷりの良さをもつスピーカーでした。
SONY SS-R3
2WAY SPEAKER SYSTEM ¥32,000
また,弟機としてSS-R3が発売されていました。基本的な技術的内容は継承されており,ウーファー
が25cmとやや小型であり,全体のサイズもスケールダウンされていましたが,デザイン的にはよく
似ていました。トゥイーター用のレベルコントロールは省略されていましたが,ネットワークの改良も
行われており,クリアでしっかりとした鳴りっぷりは継承されていました。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
現代音楽にこめられたシャープな感動と,広大なダイナミックレンジ。
それを,ぜひ手のうちに納めたい。新たなチャレンジ精神が燃えました。
ソニー・Rシリーズ
R5
音楽が実を圧するほどに迫ってくる。
心をできるだけフリーにして,
その感動の高まりを満喫して欲しい1台です。
R3
もっと音楽を楽しく,華やかに。
Gシリーズを受け継ぐクオリティの中にも
何かしら心を爽やかにさせる音です。
●主な仕様●
SS-R5 | SS-R3 | |
形式 | 2ウェイ位相反転型 | 2ウェイ位相反転型 |
使用スピーカー | 低音用:30cmコーン型 高音用:5cmバランスドライブ型 |
低音用:25cmコーン型 高音用:5cmバランスドライブ型 |
公称インピーダンス | 6Ω | 6Ω |
定格最大入力 | 70W | 70W |
瞬間最大入力 | 140W | 140W |
出力音圧レベル | 93dB/W/m | 91dB/W/m |
実効周波数帯域 | 35~20,000Hz | 38~20,000Hz |
クロスオーバー周波数 | 1,200Hz | 1,200Hz |
レベルコントロール | トゥイーター用:0dB~-50dB連続可変 | |
入力端子 | フルレンジインプット | フルレンジインプット |
大きさ | 385W×645H×345Dmm | 330W×570H×335Dmm |
重量 | 19kg | 15kg |
※本ページに掲載したSS-R5,SS-R3の写真・仕様表等は
1980年10月のSONYのカタログより抜粋したもので,ソニー
株式会社に著作権があります。したがって,これらの写真等
を無断で転載,引用等をすることは法律で禁じられています
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