ＳＯＮＹ　ＳＳ-Ｖ４
２ＷＡＹ　ＳＰＥＡＫＥＲ　ＳＹＳＴＥＭ　￥３９，８００

１９７８年に，ソニーが発売したスピーカーシステム。ソニーは１９７６年にＳＳ-Ｇ７を発売し，新たな３ウェイ
スピーカーのシリーズとして「Ｇシリーズ」をスタートさせ，翌１９７７年には，Ｇ３，Ｇ５を発売し，音楽をバラ
ンス良く聴かせる性能で，スピーカーの分野でも一定の評価を得ることとなりました。そうした中，新たに
２ウェイスピーカーのシリーズとしてスタートさせたのが「Ｖシリーズ」で，その最上級機がＳＳ-Ｖ４でした。

ＳＳ-Ｖ４は，３０ｃｍという大口径のウーファーを搭載した２ウェイシステムとしてまとめられていました。「Ｇ
シリーズ」のような３ウェイシステムとは異なる，２ウェイバスレフ型として，定位の良さや軽快な鳴りっぷり
を求めた設計が特徴でした。それは，当時オンキョーが発売していた２ウェイシステム・Ｍ６が高い人気を
得ていたことも，ソニーに何らかの影響を与えていたとも考えられます。



ウーファーは，３０ｃｍ口径のストレートコーンで，カーボンを混抄した，ソニーの自慢のＣＡＲＢＯＣＯＮユニッ
トでした。コーン紙を漉く抄紙機の開発からスタートし，抄紙方法から，成形，熱処理に至るまで検討が加え
られたもので，同心円状のリブコルゲーションを施され，ＣＡＲＢＯＣＯＮならではの剛性の高さと内部損失
が両立されたコーンユニットでした。コーン紙に特殊含浸加工を施すとともに，形状の決定にもＮＡＳＴＲＡＮ
（アポロ計画等の宇宙開発の中で，宇宙船の複雑な形状の力学的挙動を解明するために用いられたコン
ピューター技術・プログラム）が応用され，聴感との両面から形状が決定さていました。
このユニットをドライブする磁気回路は，磁束密度１０，０００ガウス，直径１２０mmというマグネットを使用した
強力なもので，ロングボイスコイルとの組み合わせで，強力なドライブを可能にしていました。そして，強度が
高く，後面開放性にすぐれたダイキャストフレームの採用で，スムーズなウーファーの動きとしっかりしたキレ
のある低音再生を実現していました。



トゥイーターは，４ｃｍ口径のバランスドライブ型ユニットでした。このバランスドライブ型は通常のコーン型
より大きなセンタードームを持ち，有効面積を小さくした形のユニットで，ソニーが「Ｇシリーズ」より以前のス
ピーカーシステムから採用していた形式でした。振動板には，基材として天然シルクを使用し，独自に開発し
た特殊樹脂をコーティングして適度な剛性をもつ振動板に仕上げていました。バランスドライブ型の力強さと
明るさに，天然シルク特有のしなやかさが加わり，繊細で切れ込みのある中高域再生を実現していました。
そして，トゥイーターには，０dB～－６dBの連続可変のレベルコントロールが装備されていました。

こうした２ウェイユニットは，９４dBの高能率が確保され，内容量５４Ｌという大型の強固なエンクロージャー
とともにスケール感のある鳴りの良さを実現していました。また，２ウェイ構成ならではの定位の良さを確保
するために，トゥイーターとウーファーがバッフルボードのセンターにタテ一列に配置されたインライン方式が
採用され，バスレフポートは，デュアルでトゥイーターを挟む形で配置されていました。さらに，バッフル面に
は，音像定位を改善するため，ソニー独自の「ＡＧボード」を採用していました。「ＡＧボード」は，バッフルボー
ドからの不要な反射が直接波に悪影響をえる現象を抑えるために，バッフル面に無数の縦横の溝を刻み反
射波が散乱するようにしたもので「Ａｃｃｕｕｓｔｉｃｃａｌ　Ｇrooved　Ｂｏａｒｄ」（アコースティカル・グルーブド・ボード）
の略でした。



以上のように，ＳＳ-Ｖ４は，ソニーが「Ｇシリーズ」とは違った２ウェイシステムならではの魅力をもつスピー
カーを作ろうとした新たなシリーズのトップモデルとして，しっかりした作りがなされ，音楽を楽しく聴けるバ
ランスのとれた再生音を実現していました。人気となった「Ｇシリーズ」の陰に隠れたためか，メジャーなモ
デルとはいえませんでしたが，しっかりとした性能をもつコストパフォーマンスにすぐれた１台だったと思い
ます。
専用のスタンドＷＳ-Ｖ４（２台１組￥７，６００）が用意されており，ＳＳ-Ｖ４を載せるとモニター的な精かんな
スタイルが魅力的でした。

以下に，当時のカタログの一部をご紹介します。

ステージは燃えている。
強大なマグネットのウーファーから
全身をゆすぶるエネルギッシュサウンドが・・・。

◎３０ｃｍカーボコンウーファーから
　はじける腹にひびく低音。
◎絹のしなやかさが加わった
　ナイーブで切れこみのより中高音。
◎能率も強大，９４dBのビッグパワー。
◎音像がピタリと決まる
　定位向上への細かい配慮。
◎ビッグスケールは
　やはり大きなキャビネットから。

●ＳＳ-Ｖ４　規格●

※本ページに掲載したＳＳ-Ｖ４の写真・仕 様表等は１９７８年３月の
　ＳＯＮＹのカタログより抜粋したもので，ソニー株式会社に著作権
　があります。したがって，これらの写真等を無断で転載，引用等を
　することは法律で禁じられていますので，ご注意ください。

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