ST-3600の写真
Technics  ST-3600
FM/AM STEREO TUNER ¥58,000

1970年に,テクニクス(現パナソニック)が発売したFM/AMチューナー。当時のテクニクスブランドの高級プリ
メインアンプSU-3600とのペ アを想定された高級チューナーで,ブラックの縁取りと縦横のラインが目立つフロ
ントパネルのデザインもアンプとそろえられ,外観上の特徴となっていました。

フロントエンドは,高周波2段増幅の構成で,第1段はFET2石をカスコード接続し,第2段には,4極MOS型
FETを使用していました。また,4連バリコンにより,高い選択度特性が確保されていました。このような構成に
より,高感度,すぐれた混信排除能力が実現され,イメージ比90dB以上,実効選択度60dB以上(±400kHz)
キャプチュアレシオ1.5dB,実用感度1.7μV(IHF)というすぐれた特性が実現されていました。

中間周波増幅回路には,クリスタルフィルターが2個使用され,選択度カーブの特性が高められ,リミッタ特性の
すぐれた差動増幅5段を含む6段増幅構成により,十分なゲインとリミッタ特性が確保されていました。また,高
集積モノリシックICが中間周波増幅に使用され,ゲイン特性の安定化が図られていました。

MPX回路には,ST-3600用に新開発された耐久性のよい大型のコイルが使用され,FM AUTOのポジション
にしておけば,ステレオ/モノ自動切換で,自動的にステレオ受信ができるようになっていました。弱電界ではS/N
の悪化を防ぐために強制的にモノラルにできるFM MONOポジションも装備されていました。さらに,FMステレ
オ受信の際に弱入力でノイズを抑えるためのMPXハイブレンドスイッチも装備されていました。また,将来(この
時期から見て)のSCAチャンネル放送(VICSやFM見えるラジオなどに使われている)とのクロストークを防ぐフィ
ルターも既に組み込まれていました。

ダイヤルスケールは,FM部は,周波数直線型バリコンの採用により,等間隔の横行スケールが採用されていま
した。信号強度を示すシグナルメーターに加えてディストーション ナルメーターが搭載された2メーター方式が採
用されていました。ディストーション ナルメーターは,完全同調点に来たときにのみ入力の大小にかかわらず歪
みの最小点を示す,歪率計と同様の働きをするもので,歪み最小点=完全同調点がより見つけやすくなっていま
した。
その他,機能的には10μV以下の小入力を自動的にカットすることで,局間ノイズを抑えるミューティングスイッチ
が装備されていました。出力端子はFIXEDとVARIABLEの2組あり,VARIABLE端子は,前面パネルのLEVEL
ツマミで,0〜1Vの範囲でレベル調整できるようになっていました。
アンテナ端子は300Ωと同軸ケーブル接続できる75Ωの2種類の端子が装備されていました。

AM部は,3連バリコン搭載で,高選択度を確保し,アンテナ部は,水平方向に動かせるフェライトアンテナを搭載
し,高感度の受信ができるようになっていました。

以上のように,ST-3600は,当時のテクニクスの技術をしっかり投入して作り上げられたチューナーで,1970年
代の前半に,テクニクスブランドの最上級機として君臨しました。使いやすさと高い受信性能,歪み感の少ない滑ら
かな音質など,バランスのとれた1台として,当時高い評価を得ていました。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



FM多局化時代にふさわしい
高級ステレオFM/AMチューナ
高感度,すぐれた混信排除能力を持つFM部

◎歪み最小点を敏感に示す
 新形チューニン グメータ
◎周波数特性, S/Nを特に重視
◎選局しやすい等 間隔の周波数目盛
◎すぐれた混信排 除能力と実用感度
◎クリスタルフィ ルター2個,高集積IC採用
 6段増幅の中間 周波増幅回路
◎雑音なしに選局 できるミューティング回路
◎ステレオ・モノ 自動切換え
◎ノイズをカット するMPXハイブレンドスイッチ
◎300Ω, 75Ω2組のアンテナ端子
◎可動フェライト アンテナ内蔵,高感度のAM部
◎ルックス,使い 勝手とも抜群のデザイン




●定格●

使用トランジスター
1IC,3FET,27Tr,28DIO
受信周波数
FM:76〜90MHz,AM:525〜1605kHz
感度
FM:1.7μV(IHF),AM:10μV(IHF)
イメージ比
FM:90dB以上(83MHz),AM:90dB以上(1MHz)
IF妨害比
FM:100dB以上(83MHz),AM:60dB以上(1MHz)
SN比
FM:70dB以上(100%変調・100μV入力)
AM:50dB以上(30%変調・1mV入力)
2信号選択度
FM:60dB以上(IHF)
AM抑圧比
FM:50dB以上
キャプチュアレシオ
FM:1.5dB以下(IHF)
歪率
FM:0.4%以下(MONO),0.5%以下(STEREO)
周波数特性
20〜13,000Hz(±1dB)
FMマルチセパレーション
40dB以上(1kHz),30dB以上(50Hz〜10kHz)
キャリアリーク
−50dB以下
FM ANTインピーダンス
300Ω平衡型及び75Ω不平衡型
定格出力
1V(FIX),0〜1V(可変)
出力インピーダンス
500Ω(FIX)
付属回路
FMモノ-ステレオ自動切替装置,FMステレオアイ,シグナルメーター
ディストーション ナル メーター,FMミューティング
ハイブレンドスイッチ,ローインピーダンス出力回路
テープ録音端子,AMフェライト アンテナ
SCAフィルター,クリスタルフィルター2個
電源
100V(50/60Hz)
消費電力
15W
寸法
420W×150H×375Dmm
重量
9.5kg


※本ページに掲載したST-3600 の写真,仕様表等は1973年4月の
 Technicsのカタロ グより抜粋したもので,パナソニック株式会社に
 著作権があります。した がって,これらの写真等を無断で転載・引用等
 することは法律で禁じられ ていますのでご注意ください。

 

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