OTTO SX-1155
SPEAKER SYSTEM ¥44,800
1976年に,オットー(現三洋電機)が発売したスピーカーシステム。1970年代,総合家電メーカーである
三洋電機が本格的にオーディオを展開していくために発足させたブランドがOTTO(オットー・Orthophonic
Transistorized
Technical Operation=トランジスタ技術を駆使し,真の音を追求した音響装置の意)でした。
そのオットーブランドでは,各コンポーネントに意欲作を出していましたが,スピーカー部門では,海外メー
カー製のユニットを積極的に導入したスピーカーシステムを出していました。そうした中の主力の中級機とし
て発売されたのがSX-1155でした。
SX-1155は,オーソドックスな3ウェイのブックシェルフ型で,バスレフ型エンクロージャーを採用していまし
た。SX-1155のバスレフシステムは,ダクトに工夫を加えた少し特殊な方式で,ダクト共振を20Hz以下に
とり,さらにダクトの形状をネックを絞ったものとして低域の瞬発大入力が入ったときには,ダクト部分での空
気負荷が急激に増大するようになっており,ダンピングの良い低域再生をねらった設計でした。
ウーファーは,25cm口径のコーン型で,JBLにも使用されているアメリカ・ホーレー社製のコルゲーション
入りのコーン紙を使用していました。磁気回路は,120φ×60φ×20tの強力なフェライトマグネットを搭
載し,しっかりしたアルミダイカストフレームで支えられたウーファーユニットは,94dBという高能率と力強い
低域再生を実現していました。
スコーカーは,10cm口径のコーン型で,西ドイツのクルトミューラー社のコーン紙に特殊コーティングを施
して剛性を高めたものを使用していました。磁気回路には,35φ×25hのアルニコマグネットを使用したも
のが搭載されていました。フレームは,ウーファー同様に,剛性の高いアルミダイキャスト製のものが使用さ
れていました。
トゥイーターは,ホーン型で,ホーンとフレームとバッフルが音響的に見て,連続的にスムーズに接続するよ
うホーンとフレームを一体ダイキャスト化したブロック・ホーン設計になっていました。磁気回路は,マイラー
フィルムを磁極にし,センターポールに磁気歪を無視できる純鉄をセンターポールに用いることで,応答性
を大幅に高め,クリアな高域を実現していました。
そして,スコーカーと,トゥイーターには,−∞まで絞れる連続可変型のアッテネーターが装備されていました。
エンクロージャーは,板厚22mmの高密度パーティクルボードを使用し,充分な補強が施され,しっかりと鳴
きを抑えたものとなっていました。バッフル面は,共振を低減するラビ塗装(植毛風,ゴム風の塗装,最近で
はCDトレイの表面などにも用いられる)が施され,天板,側板はハンマートーン塗装(金属表面をハンマー
で叩いたような模様の塗装)仕上げが施されていました。
以上のように,SX-1155は,外観,音とも上品な落ち着いたイメージの,
SX-661,SX-551等とは異な
る方向で作り上げられ,サンヨー自身がウェストコーストサウンドと謳っていたように,明るい元気な音をも
つスピーカーでした。