TA-7Xの写真
ONKYO TA-7X
STEREO CASSETTE DECK ¥84,800

1981年に,オンキヨーが発売したカセットデッキ。同年発売の高級デッキTA-9Xの弟機で,カセットデッキ
としての基本部分は,しっかり受け継がれ,オーソドックスながらしっかりした内容を持った中級機となってい
ました。

TA-7Xは,コンビネーション録・再ヘッドを搭載した3ヘッドデッキでした。録音用,再生用にそれぞれ最適の
ギャップ幅を設定し,ギャップ部はもとよりコア部にもセンダスト合金を使ったS&S・録再コンビネーションヘ
ッドが搭載され,周波数特性のワイドレンジ化と高SN比を実現するとともにメタルテープへの対応を可能とし
ていました。消去ヘッドには,ダブルギャップフェライトヘッドが搭載されていました。

走行系は,シングルキャプスタンで2モーターシステムを採用していました。キャプスタン駆動用には,静かで
回転精度の高いFGサーボDCモーターが搭載され,リール駆動用にはトルクの大きなDCモーターが搭載さ
れていました。特に,キャプスタンの駆動は,ダイナミックバランスにすぐれた大型フライホイール同軸一体構
造のFGサーボDCモーターによるダイレクトドライブ方式が採用され,ワウ・フラッタ0.032%(WRMS)とい
う安定したテープ走行が確保されていました。

TA-7Xのメカニズム部

テープ走行の安定性のもう一つの要素,テープテンションの安定を図るために,TA-7Xには,新開発の「エレ
クトロニックサーボ・バックテンション・システム」が搭載されていました。これは,テープの巻き始めから巻き終
わりまで一定のバックテンションを選るために,供給側リール台の回転数を電気的に検出し,電磁変換方式に
より,供給側のリール台をコントロールするというもので,テープ走行の安定性の向上とレベル変動,変調ノイ
ズ等の特性の改善が実現していました。

アンプ系も充実が図られ,特に再生系アンプには,オンキヨーらしくスーパーサーボ方式が採用されていました。
これは,モノリシックオペアンプによるサーボオペレーションを行い,DCアンプをコントロールすることですぐれた
低域特性と安定性を実現した方式でした。ブスアースラインのローインピーダンス強力電源も採用され,すぐれ
た低域再生能力が確保されていました。

機能的にはオーソドックスなデッキでしたが,実用的に仕上げられていました。ツマミを回すことでフェードイン・
フェードアウトができるフェードアウトボリューム,テープに対応してバイアスをマニュアルコントロールできるア
キュバイアスアジャストツマミ,REC MUTEなど機能的にはシンプルといえました。操作系はフルロジック・キー
レベルメーターは針式のピークレベルメーター,ノイズリダクションとしてはDOLBY(Bタイプ)が装備されてい
ました。

以上のように,TA-7Xは,オーソドックスながら走行系等基本部分はしっかりと作られた3ヘッドデッキでした。
オンキヨーというテープデッキではマイナーなブランドだったためか,目立った存在にはなりませんでしたが,ア
ンプ部にもオンキヨーらしさが取り入れられているなど,しっかりとした内容を持つ実力派の1台でした。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



クオリティへの挑戦。
高密度スーパーサーボ・デッキ。


◎S&Sコンビヘッド採用。3ヘッドでモニターも可能。
◎DDモーター搭載,2モーターシステム。
◎新開発エレクトロニックサーボ・バックテンション
 システム。
◎ラインアウトアンプにスーパーサーボ方式を採用。
◎フェードアウト機能装備/フェードインも可能。

●あらゆるテープに対応できるアキュバイアス方式
●快適なフルロジック・オペレーション,キー
●正確応答のピークレベルメーター
●録音スタート部をカウンター”000”記憶する
  メモリーSTOP&PLAY
●曲間CMのカット等に役立つREC MUTE
●タイマーで/再スタートができるTIMER START
●S/Nを改善するDOLBY NRシステム





●SPECIFICATIONS●

形式 4トラック2chステレオカセットデッキ
ヘッド 録音・再生ヘッド:S&Sコンビヘッド
消去ヘッド:ダブルギャップフェライトヘッド
モータ FGサーボDCモータ(キャプスタン用)
DCモータ(リール用)
テープ速度 4.8cm/sec
ワウフラッタ 0.032%(WRMS)
周波数特性 METAL 20〜20,000Hz
      (30〜19,000Hz±3dB)
HIGH   20〜18,000Hz
      (30〜17,000Hz±3dB)
NORM  20〜17,000Hz
      (30〜16,000Hz±3dB)
SN比 ドルビーOUT:60dB以上(METAL)
ドルビーIN:1kHzで5dB,5kHzで10dB以上向上
MIC入力 最小入力レベル:0.3mV/600Ω
入力インピーダンス:5kΩ
適合マイクインピーダンス:200Ω〜50kΩ
LINE入力 最小入力レベル:50mV
入力インピーダンス:50kΩ
LINE出力 基準出力:1,100mV(0dB)
負荷インピーダンス:50kΩ以上
ヘッドホン出力 6mmφステレオジャック
負荷インピーダンス:8Ω〜200Ω
電源
AC100V 50/60Hz
消費電力 35W
寸法 435W×120H×330Dmm
重量 6.7kg

※本ページに掲載したTA-7Xの写真,仕様表等は1981年5月
 のONKYOのカタログより抜粋したもので,オンキョー株式会社
 に著作権があります。したがって,これらの写真等を無断で 転載
 引用等することは法律で禁じられていますのでご注意ください。

   
 
★メニューにもどる         
 
 

★テープデッキPART6にもどる

現在もご使用中の方,また,かつて使っていた方。あるいは,思い出や印象のある方
そのほか,ご意見ご感想などをお寄せください。


メールはこちらへk-nisi@niji.or.jp


inserted by FC2 system