TA-W800の写真
ONKYO TA-W800
STEREO HIGH SPEED DUBBING CASSETTE TAPE DECK
                                  ¥69,800


1981年に,オンキョーが発売したカセットデッキ。オンキョーは,スピーカー,アンプ,チューナー等では
高い評価を得ていたブランドでしたが,カセットデッキの分野では,どちらかというとマイナーな存在でした。
しかし,オンキョーは,1970年代後半よりテープデッキの基礎研究を進め,カセットデッキの分野でも力
の入ったモデルを発売し始めました。そんなオンキョーが発売した初のダブルデッキがTA-W800でした。

オープンリールデッキの時代には,さすがに2台分のメカニズムを搭載するのは難しく,ダブルデッキはほ
とんどありませんでしたが(例外としてドコーダーの8010・¥118,000がありましたが・・・。),カセットデ
ッキの時代になっても,著作権の問題もあり,メジャーなオーディオブランドからはダブルデッキがなかなか
発売されませんでした。そんな中,1977年,クラリオンから初のダブルデッキM-8080Aが発売され,各
社からも1980年頃から,徐々にダブルデッキが発売されるようになりました。

TA-W800の最大の特徴は,民生用のカセットデッキで世界で初めて2倍速の高速ダビング機能が搭載
されていたことでした。当時,ミュージックテープを作成するための業務用の高速ダビング機・デュプリケー
ターは存在していましたが,前述のように著作権等の問題もあり,民生用のオーディオ機器には発売され
ていませんでした。そうした中,民生用カセットデッキで初の高速ダビング機能の搭載でした。そして,これ
以降各社のダブルデッキに倍速でダビングできる機能の搭載が一般的になっていきました。

録再ヘッドには,TAPE-1,TAPE-2ともハードパーマロイヘッドが搭載されていました。音質的にはすぐ
れているパーマロイを基本磁性材料として,ヘッド表面を硬く滑らかに仕上げ,耐摩耗性を高めたもので
広い周波数特性,低歪率,低雑音などの特性を実現しつつ,形状により,低域の周波数特性の乱れ(コ
ンターエフェクト)を抑え込んでいました。消去ヘッドには,ダブルギャップフェライトヘッドが搭載されてい
ました。
走行系は,DCサーボモーターが各デッキに1基ずつ,計2基のモーターが搭載された,シングルキャプス
タンメカニズムで,ワウ・フラッター0.06%以下(WRMS)というすぐれた走行精度が実現されていました。
テープ走行の操作系は。200〜300gの押圧で操作できるフェザータッチの操作系が採用されていました。
テープの装着方法は,当時,いくつかのブランドのデッキで採用されていた,カセットリッドのないタイプで
直接メカニズムにテープを装着するものとなっていました。(このタイプは,コスト面だけでなく,ヘッド等の
クリーニングのしやすさ,ハーフの保持の確実さなどのメリットがあるといわれていました。)

ダブルデッキとして,倍速ダビング,定速ダビング以外にも,多彩な機能を搭載していました。フロントパネ
ルにはマイク端子が装備されており,TAPE-1からTAPE-2へダビングしながらマイク音声をミキシング録
音できるようになっていました。また,TAPE-1の再生が終われば自動的にTAPE-2の再生を開始すると
いうように自動連続再生ができるだけでなく,TAPE-1とTAPE-2を同時に再生するとミキシング再生がで
きるようにもなっていました。

テープセレクターは,TAPE-1,TAPE-2の2系統のデッキに,それぞれ独立して,3ポジション(METAL,
HIGH,NORMAL)のものが装備され,異なるポジションのテープでのダビングも可能でした。ドルビーNR
は,1系統であり,ドルビーOFFテープ→ドルビーOFFテープ,ドルビーONテープ→ドルビーONテープの
ダビングの場合はドルビーOFFで,ドルビーOFFテープ→ドルビーONテープのダビングの場合はドルビー
ONで定速ダビングで行うようになっていました。

i以上のように,TA-W800は,世界初の民生用の倍速ダビング機能を持った画期的な1台でした。テープ
デッキの分野ではマイナーなブランドであったオンキョーからであったことは当時驚きでしたが,機能的に
も,性能的にもしっかりした内容をもったダブルデッキで,後に発売された多くのダブルデッキにも影響を
与えることになりました。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



テープ仲間に差をつけろ。
世界初(コンシューマー用)の高速ダビング
デッキ登場。
マイクミキシング録音
自動連続・同時ミキシング再生もできる
ダブルメカ搭載。


◎ダビング時間1/2。初の高速ダビングデッキ。
◎テープ1とのマイクミキシング録音可能。
◎ハイクオリティ・ダイレクト・テープダビング
◎自動連続再生/同時ミキシング再生可能
◎メタル対応,2系統テープセレクター
◎SN比を向上させるドルビーシステム内蔵
◎メタル対応ハード・パーマロイヘッド
◎安定した回転精度のDCサーボモータ採用
◎軽快なフェザータッチメカ・操作キー
◎明るく見やすいデジタル・レベルメーター
◎曲間CMなどのカットに役立つREC MUTE機構
◎留守録音や目覚まし再生を楽しめる
 タイマースタンバイ機構
◎頭出しのラクなキュー/レビュー機構
◎メカに負担をかけないフルオートストップ機構






●規格●

形式 4トラック2chステレオダビングデッキ
ヘッド 録音・再生ヘッド:ハードパーマロイヘッド(×2)
消去ヘッド:ダブルギャップフェライトヘッド
モーター DCサーボモータ(×2) 
テープ速度 4.8cm/sec(ダビング時高速可能)
ワウフラッタ 0.06%(W.R.M.S.)
周波数特性 METAL  20〜16,000Hz
       (30〜15,000Hz±3dB)
HIGH    20〜16,000Hz
       (30〜15,000Hz±3dB)
NORMAL 20〜15,000Hz
       (30〜14,000Hz±3dB)
SN比 ドルビーOUT:58dB以上(METAL)
ドルビーIN:1kHzで5dB,5kHzで10dB以上向上
MIC入力 最小入力レベル:0.3mV/600Ω
入力インピーダンス:5kΩ
適合マイクインピーダンス:200Ω〜50kΩ
LINE入力(L-R) 最小入力レベル:50mV
入力インピーダンス:50kΩ
LINE出力(L-R) 基準出力:350mV(0VU)
負荷インピーダンス:50kΩ以上
ヘッドホン出力 6mmφステレオジャック
負荷インピーダンス:8Ω〜200Ω
電源
AC100V 50/60Hz
消費電力 15W
寸法 418W×122H×270Dmm
重量 6.5kg
付属機構
1→2高速/定速ダビング
テープ1・マイクミキシング録音可能
同時ミキシング再生・自動連続再生可能
ドルビーシステム/タイマースタンバイ機構
フルオートストップ機構
REC MUTEスイッチ
キュー/レビュー機構

※本ページに掲載したTA-W800の写真,仕様表等は1981年3月
 のONKYOのカタログより抜粋したもので,オンキョー株式会社に
 著作権があります。したがって,これらの写真等を無断で転載・引用等
 することは法律で禁じられていますのでご注意ください。

   
 
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