TTS-4000の写真
SONY TTS-4000
DIRECT DRIVE SERVO CONTROLLED TURNTABLE
                                ¥65,000


1970年に,ソニーが発売したターンテーブル。ソニー初のダイレクトドライブ方式のターンテーブルで
ACサーボモーターを採用しているなど,ソニーならではの個性を発揮していました。発売は1970年の
7月で,実はあのSP-10より1ヶ月ほど早かったため,ダイレクトドライブ方式のターンテーブルと して
発売第1号はこのTTS-4000だったのかもしれません。(開発・発表はSP-10が1969年で,先でし
た。この1969年のSP-10の発表は世界中のオーディオメーカーに衝撃を与えたと言われています。)

TTS-4000に搭載されたモーターは,エディカレント(渦電流)の原理によるACモーターで,原理的に
不連続なトルクが発生せず,滑らかな回転が実現されていました。またシンクロナス型に比べて,回転
数の制御の容易さもメリットでした。
回転数制御は,モーター,ターンテーブル双方のFG(周波数発電機)により回転数を検出し,特に開発
されたICとトランジスタ8石,ダイオード11によるサーボ回路で行われ,滑らかな回転をより正確にコン
トロールしていました。

ターンテーブルは,直径32cm,アルミ合金鋳物製で重量は1.75kgのものが搭載されていました。こ
れは大トルクのDCモーターを搭載したSP-10のターンテーブルが2.8kgという重量級であるのに対し
比較的軽量で,トルクの小さいACモーターを搭載しているからですが,モーターそのものの回転が滑ら
かであることの証左でもあり,SP-10と対称的な設計がなされていたことは興味深いものでした。トルク
の小さいACサーボモーターとはいえ,定速回転には1/2回転以内で達することができ,DD方式ならで
はの起動特性でした。
ターンテーブルの外周には正確なストロボが刻まれ,大型のネオン管によって正確な回転数のチェック
ができるようになっていました。

ストロボTTS-4000全景

サーボモーターの搭載により,スピード切換,スピード調整は純電子式となっており,ボタンとツマミによる
軽快な操作感が実現されていました。また,コントロールボックスはターンテーブルキャビネットに設置した
際に,ターンテーブル本体の円形フレームと相まって自由度の高いレイアウトが可能となり,アームのレイ
アウトの自由度にもすぐれていました。

PSE-4000の写真

TTS-4000を専用キャビネットに収めたターンテーブルシステムとしてPSE-4000(¥85,000)が発売
されていました。キャビネット下部にはインシュレーターも備えられ,アームボードは独立式で,交換用アー
ムボード(別売 TAC-12 ¥1,200)も用意され,アーム交換もしやすくなっていました。

以上のように,TTS-4000は,ソニー初のD.D.(ダイレクトドライブ)方式ターンテーブルとして,バランスの
とれた使いやすい設計となっていました。この後も,ソニーはDDプレーヤーの分野ですぐれたモデルを発
表していくこととなりました。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



世界の名機と呼ぶにふさわしい
最高級ターンテーブル。
ACサーボによる
<ダイレクト・ドライブ>方式。


理想のメカ<ダイレクト・ドライブ>とソニーが
誇るサーボ技術によって,初めて実現した
超高性能。S/N60dB,ワウ・フラッタ0.03%
を超えるターンテーブルは現在,世界に類を
見ません。




●規格●

ターンテーブル
32cmアルミ合金鋳物 1.75kg
モーター
ACサーボモーター
使用半導体
IC1,トランジスタ7,ダイオード11
駆動方式
ダイレクト・ドライブ
回転数
331/3,45rpm
速度調整範囲
±3%
起動特性
1/2回転以内(331/3rpm)
ワウ・フラッター
0.03%wrms以内
S/N
60dB以上
電源
100V,50/60Hz共通
消費電力
17W
大きさ
TTS-4000:最大径343mm×高さ147mm
PSE-4000:幅560×高さ200×奥行410mm
重量
TTS-4000:10.5kg(コントロールボックス含む)
PSE-4000:18kg


※本ページに掲載したTTS-4000,PSE-4000の写真・仕様表等は
1973年6月の
SONYのカタログより抜粋したもので,ソニー株式会社
に著作権が
あります。したがって,これらの写真等を無断で転載,引用
等をすること
は法律で禁じられていますので,ご注意ください。
 
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