WX-11の写真
AIWA AD-WX11
STEREO DOUBLE CASSETTE DECK ¥69,800

1982年に,アイワが発売したカセットデッキ。1980年代に入り,それまで何となくタブー視されてきたダブル
デッキが各社から発売されるようになり,一つの流行になりつつありました。そうした中,機能面での競争も
始まり,1981年には,オンキョーから倍速ダビング機能を搭載したダブルデッキが発売され,各社に広がっ
ていきました。そうした中,カセットのA面,B面を一度にダビングする機能を搭載して登場したのがAD-WX11
でした。

WX11は,デッキ1,デッキ2の両方に,A面,B面を一度にカバーできるように4トラック・4チャンネルヘッド
を搭載し,倍速ダビングをすることで,A面は,通常の倍速ダビング,B面は逆再生,録音で倍速ダビングす
るというユニークな方式で,テープ丸ごとのダビングが,通常の定速ダビングに比べて1/4の時間でできる
ようになっていたことが売りで,世界初搭載の機構でした。

WX11の4トラックヘッド

デッキ2に搭載されたヘッドは,録音・再生に使用されるため,録音特性を重視した2ミクロン幅のギャップが
設定され,再生専用のデッキ1には,再生特性重視の0.7ミクロン幅のギャップが設定され,3ヘッド方式の
ように,録音,再生それぞれの機能に適したヘッド特性が与えられていました。

WX11では,ダビングはワンボタンでデッキ1とデッキ2が同時にスタートする「シンクロダビング機構」が搭
載され,ダビングがより手軽になっていました。そして,ダビング速度がNORMALとHIGH(2倍速),そして
ダビングトラックがAorB(片面ずつ),A+B(両面同時)に切り換えられるようになっており,HIGHとA+Bの
組み合わせにすると,上記のようにテープ1本が1/4の時間でダビングできるようになっていました。

ダブルデッキとして,デッキ2→デッキ1の順番に連続でテープの再生ができる「コンティニュアス・プレイ」機
能も搭載されていました。また,ミキシング・マイク端子が装備され,テープ1とマイクによるミキシング再生・
録音も可能となっていました。

テープセレクターはLH,CrO,METALの3ポジションで,オートテープセレクターとなっていました。さらに録
音系のデッキ2には,LHテープ用のバイアス微調整やREC MUTEも装備されていました。ノイズリダクション
として,従来のドルビー(Bタイプ)に加え,ドルビーCタイプも搭載されていました。また,再生系のテープ1に
は,前後1曲の頭出し機構・ミュージックセンサーが装備されていました。

WX11は,パネル幅330mmで,いわゆる当時のミニコンポサイズで,コンパクトにまとめられていました。
そのため,スイッチ類を限られたカセットドア以外の部分に集中させ,レベルメーター,テープポジションの表
示は,カセットドアの部分に設けられていました。

以上のように,WX11は,両面同時倍速ダビングを初めて実現した,アイワらしい多機能かつ使いやすい
ダブルデッキでした。音質的には,必要十分といったレベルでしたが,高い機能性とコストパフォーマンスが
魅力的な1台となっていました。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



日本初の「両面倍速ダビング機構」搭載。
ダビング時間を4分の1に短縮したマジックボックス。
ダブルカセット第3世代「ワンダーダブル」新登場。


◎日本初のワンダーダブル感覚。AB面
 を同時に一挙丸録りする「両面同時倍
 速ダビング機構」搭載。
◎ダビング操作はじつに単純明快。2台
 のメカがワンボタンで同時スタートする
 「シンクロダビング機構」搭載。
◎マイクを握ったら離さないキミに。
 カラオケも思いのままだ。
◎多重録音で,ワンマンバンド!
 多彩なミュージックプレイが愉快だ。
◎音楽の空気だ,と思ったら。
 コンティニュアス・プレイしよう。
◎高性能メカの存在証明。
 音質追求派満足のドルビーCタイプ。
◎テープの特性を最大限に引き出す。
 LHバイアス微調整機構で万全。
◎キュー/レビューで
 スピーディーな頭出し。デッキ1には
 ミュージックセンサーが機能。
◎すばやくキャンセル!
 もの言うレックミュート。
◎留守録OK!
 重宝なタイマースタンバイメカ。
◎見やすい,わかりやすい!
 カセット・フロントにメーター表示。
◎シティなジャケットサイズ,33cm。




●規格●

型式
ドルビーCタイプ搭載ダブルカセットデッキ
モーター
DCサーボモーター×2
ヘッド
録音・再生/SH4chヘッド,再生/SH4chヘッド
消去/Hi-Bsダブルギャップフェライトヘッド×2
ワウ・フラッター
0.045%(WRMS),±0.09%(W-PEAK,新EIAJ)
周波数特性
          (−20VU録音)   (0VU録音)
LHテープ    :20Hz〜16kHz
CrO2テープ  :20Hz〜17kHz  25Hz〜8kHz
METALテープ:20Hz〜18kHZ  25Hz〜12.5kHz
SN比
(メタルテープ,ピークレベル)
58dB(Dolby NR OFF)
66dB(Dolby Btype ON)
73dB(Dolby Ctype ON)
歪率
1.0%(METAL)
入力
MIC:0.2mV(200Ω〜10kΩ)
LINE:50mV(50kΩ以上)
出力
LINE:0.36V(50kΩ以上)
HEADPHONE:0.8mW(8Ω)
早送り・巻戻し時間
90秒(C-60)
オートストップ
メカニカルフルオートストップ
電源
AC100V 50/60Hz
消費電力
20W
寸法
330W×107H×306Dmm
重量
5.2kg


※本ページに掲載したAD-WX11の写真,仕様表等は1982年5月
 のAIWAのカタログより抜粋したもので,アイワ株式会社に著作
 権があります。したがって,これらの写真等を無断で 転載・引用
 等することは法律で禁じられていますのでご注意ください。

   
 
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