XD-001の写真
EXCELIA XD-001
Digital Audio Tape Deck ¥188,000

アイワが1987年にEXCELIA(エクセリア)ブランドで発売したDATデッキ。国産初(恐らく世界初)のDATデッ
キとして発売されました。アイワはソニーの子会社的存在だったので,中身は実はソニーのDTC-1000ES
非常によく似ていました。OEMというよりソニーとアイワの共同開発だったのではないかと思います。そのため
ソニーのDTC-1000ESと一部説明が重なります。しかし,国産初のDATがアイワから出たのも,デジタルオ
ーディオの研究に大きな貢献をした中島平太郎氏がアイワの社長を歴任し,さらに当時取締役相談役の地位
についていたことと無関係ではなかったのでしょう。

駆動部は,4DD(ダイレクト・ドライブ)方式で,ドラム,テイクアップリール,サプライリール,キャプスタンのそれ
ぞれにダイレクトドライブでモーターを1個ずつ搭載していました。この他に,テープローディング用に1個,カセット
ローディング用に2個のモーターを搭載し,メカ部全体では計7個のモータを搭載していました。ローディングメカは
第1世代機で主流だった水平ローディングで,カセットをCDプレーヤーと同じようにトレイにのせてローディングす
るタイプでした。

また,サーボ系は,高度な4DDメカニズムに対して,ドラム制御,キャプスタン制御,両リールモーター制御の3
系統に分かれていて,非常に高精度なサーボコントロールが行われていました。ドラム制御は,毎分2000回転
を正確に維持するために専用ICによるデジタルサーボを新開発して搭載していました。キャプスタンサーボには
ヘッドのトラッキングずれを防ぐために極めて高精度なコントロールが必要とされます。記録時に,トラッキングを
コントロールするための信号を書き込み,再生時には,その信号を読み取ってサーボをかけることで自動的にトラ
ッキングを調整するATF(Auto Tracking Finding・自動トラッキング追尾システム)を採用していました。リー
ルモーターは,それぞれDD(ダイレクトドライブ)となっていることを利用し,テープのテンションを一定に保つサー
ボにより極めて正確な回転を実現していました。

高精度を要求されるメカシャーシは,ベンドレス化することで微少な歪みを抑え,ミクロン単位で水平が保てるよう
になっていました。ヘッド部などへのメカニズム系への外部振動の影響をシャットアウトするために,超硬性構造の
インシュレーターを採用し,セット重量と相まって高い防振性を持たせていました。

録音系のA/Dコンバーターには,A/Dコンバーターを左右独立して使用し,LとRの回路間を銅板で遮断して優
れたセパレーションを実現していました。再生系のD/Aコンバーターには,4倍オーバーサンプリング・デジタルフ
ィルターと1チップタイプ・デュアルD/Aコンバーターを搭載していました。あえて1チップとすることで,左右チャン
ネルの電流出力差を極少に抑えていました。左右独立のA/D,D/Aコンバーターに対応して全体もツインモノ
コンストラクションになっていました。また,アースポイントの電位差に起因するグランドノイズを排除するため,1ポ
イントアース設計になっていました。さらに,基板にはバスアースを設けて,基板インピーダンスを低下させることで,
高周波の影響を受けにくくし構造的にも補強を施して,分割振動の低減を図っていました。

XD-001の内部
XD−001の内部
 

DTC-1000ESの内部←ソニーのDTC-1000ESとアイワのXD-001
                                             の内部を見るとよく似ています。
DTC-1000ESの内部

内部コンストラクションも,右半分がA/D,D/Aを含めたオーディオ回路ブロック,左半分がテープ走行系メカニズ
ム,電源回路,デジタル信号処理回路,システムコントロールはフロントパネルのすぐうしろというように,それぞれ
ブロック構成となっていました。頑丈な外部シャーシに加え,アナログブロック,デジタル信号処理,テープ走行系
メカニズムを分ける形で,サブシャーシに設置され,強度を増すとともにシールドの強化が図られていました。さらに
アナログブロックを取り巻くシャーシには銅メッキが施され,磁気歪みの低減が図られていました。さらに,アナログ
入力の録音時,ボリューム回路による音質劣化を防ぐために回路全体をアルミダイキャストでカバーリングして,振
動の影響の低減を図っていました。

デジタル系とアナログ系の相互干渉を防ぐために,電源系もデジタル・アナログ独立構成とされ,電源トランス自体
オーディオ系用とデジタル系とその他コントロール,メカドライブ用を独立させた2トランス構成となっていました。ま
た,2つのトランスのアースポイントを一致させ,グランドループノイズを排除するため,1モジュールの中に樹脂を充
填して封入した構造になっていました。トランス1は,メカサーボ系,デジタル系(+),FL&デジタル系(−),メカサ
ーボ系の4電源,トランス2は,オーディオ系(高電圧系),オーディオ系(定電圧系)の2電源という,合計6電源構
成として電源系からのノイズの回り込みを抑えていました。
電源コードはOFC(無酸素銅)コードとして自己インダクタンスを低減し,さらに,ACラインノイズフィルターを搭載し
てACコードからのノイズの混入に対する対策も図っていました。
パーツはオーディオ専用に開発された高性能品を用い,オーディオ信号経路にはすべてOFCワイヤーを用い,ピン
ジャックは金メッキとしていました。

DATは,テープ上に音楽とは別にサブコードを記録するスペースが設けられ,それを利用したデジタルならではの
高度な機能が実現されていました。スタートIDという信号を自動・手動で打ち込むことにより,自在な頭出しが可能
になっていました。@スキップ再生(スキップIDを打ち込むことにより不要な部分を自動的に飛ばして再生)Aダイレ
クトサーチ(プログラムナンバーによりダイレクトに頭出し再生)Bミュージックスキャン(8秒間ずつ曲頭を再生)Cブ
ランクサーチ(未録音部分を自動的に探す)など,テープデッキながら便利な機能が搭載されていました。また,サブ
コードにより正確な時間表示が可能になり,リニアカウンター(再生時間),リメイニングタイム(テープ残量時間),プ
ログラムタイム(演奏中の曲頭からの時間)を表示できるCDプレーヤー並の多機能な電子カウンターを搭載していま
した。

以上のように,録音機として非常に高度で高性能で,しかも完成度の高かったDATの商品化第1号機として登場した
XD-001でしたが,その規格のあまりの高性能・高音質ゆえ,著作権問題で大きくつまずき,CDから直接デジタル録
音できなくされているなど,第1世代特有の大きな問題を抱えての船出となっていました。また,現在アイワは,アナロ
グ,デジタル問わず,これほど凝ったテープデッキを出しておらず,かつてテープデッキ界で実力を発揮していたアイワ
としては寂しい限りで,残念です。

 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



デジタルの世紀を,いまアイワが宣言します。
  ◎あくまでピュア。ダビング時の音質劣化がありません。
  ◎デジタル・ダイレクト・ダビングはできない場合があります。
  ◎専用のDカセットは,小型・軽量で2時間連続録音。
  ◎高密度記録のための,回転ドラムヘッドです。
  ◎その操作性は,テープの常識を塗りかえてしまいます。
 

高速サーチ,ダイレクト選曲,スキップ再生・・・
DATの神技です。
  ◎テープの全情報が一目瞭然です。多機能電子カウンター。
  ◎テープの操作性は新次元へ。サブコード機能。
  ◎曲の部分だけを100%再生できます。スキップ(ナレーションカット)再生。
 

XD-001。誕生の陰には高度な技術の集積が
あります。
 
 Mechanism
  ◎操作の簡易性と安定したテープローディングへ。
    水平ローディングメカ。
  ◎定速と高速のテープ走行を高精度化するために。
    4DDモーター採用メカニズム。
  ◎ヘッドとテープの安定接触へ,
    メカの水平を保つベンドレス・メカシャーシ。
  ◎メカニズム系への外部振動を遮断。超硬性インシュレーター。

 Chassis
  ◎干渉や共振を排除し,ハイクオリティを実現。
    アナログ部分分離シャーシ。
  ◎不要振動の排除とノイズ誘導防止効果へ。
    銅メッキシャーシと銅ビス。

 Digital
  ◎高周波歪を高域に移行,すぐれた位相特性へ。
    4倍オーバーサンプリング・デジタルフィルター。
  ◎再生時のチャンネルセパレーション劣化を防止。
    デュアルD/Aコンバーター。
  ◎録音時にチャンネルセパレーション劣化を防止。
    左右独立A/Dコンバーター。
  ◎電源の安定供給とノイズ混入防止のために。2トランス6電源。

 Analogue
  ◎ボリューム回路による音質劣化を防止。
    アルミダイキャストカバーの録音ボリューム。
  ◎ACコードからのノイズ混入をガード。
    ACラインノイズフィルター。
  ◎音の立ち上がりが明らかに違う。極太OFC電源コード。
  ◎高音質をひたむきに追求。オーディオ主要回路はOFCワイヤー。
 
 

●主な仕様●


テープ デジタルオーディオテープ
テープスピード 8.15mm/s
録音時間 120分(DT-120にて)連続
ヘッド 回転ヘッド
ドラム回転 約2,000rpm
トラックピッチ 13.6μm(20.4μm)
サンプリング周波数 48kHz,44.1kHz(再生のみ),32kHz
量子化 16ビット直線
変調方式 8-10変換
エラー訂正方式 ダブルリードソロモン
チャンネル数 2チャンネルステレオ
周波数特性 2Hz〜22,000Hz(±0.5dB)
信号対雑音比(SN比) 92dB以上
ダイナミックレンジ 90dB以上
全高調波ひずみ率 0.005%以下(1kHz)
ワウ・フラッター 測定限界(±0.001%W・PEAK)以下
入力端子
(端子形状/入力インピーダンス/
 基準入力レベル)
LINE IN1 ピンジャック/50kΩ/0.25V
LINE IN2 ピンジャック/50kΩ/0.25V
DIGITAL ピンジャック/75Ω/0.5Vp-p
SYNC 3ピン
出力端子
(端子形状/出力インピーダンス/
 規定出入力レベル/負荷インピーダンス)
LINE OUT ピンジャック/470Ω/0.25V/10kΩ以上
PHONES ステレオ標準ジャック/150Ω/−/32Ω
DIGITAL OUT ピンジャック/75Ω/0.5Vp-p/75Ω 
電源 AC100V,50/60Hz
消費電力 35W
最大外形寸法 430W×116.5H×421Dmm
重量 11.7kg

       ※本ページに掲載したXD-001の写真,仕様表等は1987年3月のEXCELIAの
        カタログより抜粋したもので,アイワ株式会社に著作権があります。したがって,こ
       れらの写真等を無断で転載・引用等することは法律で禁じられていますのでご注意
       ください。        

  
 
 
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