XK-S9000の写真
aiwa XK-S9000
STEREO CASSETTE DECK ¥135,000

1991年にアイワが発売したカセットデッキ。カセットデッキに優れた技術を見せてきたアイワの最後の高級
デッキとなってしまったのが,このXK-S9000でした。エクセリアブランドを打ち出して1988年に発売された
XK-009からの発展形とも考えられ,さらに凝った内容を持ち,アイワのカセットデッキの一つの頂点となった
1台でした。

XK-S9000では,XK-009で開発された振動対策のさらなる徹底がなされていました。AMTS(Anti Mod
-ulation Tape Stabilizer)と称するテープスタビライザーはより強化され,非磁性体のアルミ板と無反発性の
特殊ゴムの2層構造のカセットボックスは継承され,プランジャーを利用して0.5kg多い約1.5kgの力でカセ
ットハーフを挟みつけるような構造になっており,カセットハーフを面でスタビライズして不要な振動を減衰させる
ようになっていました。カセットドアはカセットテープを入れると自動的に閉じるオートローディング式になっていま
した。

XK-S9000のスーパーAMTSフローティングマウント方式キャプスタンモーター

さらに,デッキ内部の振動源であるキャプスタンモーターを3層構造の制振鋼板2枚と特殊制振ゴムで支持し,
フローティングさせた構造となっていました。また,録音ヘッド及び再生ヘッドの取付を従来の2点支持から3点
支持に強化し,重量級のヘッドブロックに精密固定するとともに,無反発性ゴムで両側からダンプするヘッドスタ
ビライザーを装着していました。このようにより徹底された振動対策は「スーパーAMTS」と称され,XK-S9000
の一つの大きな技術的特徴であるとともに,すぐれた音質を実現していました。

また,重量級の高剛性シャーシ,キャビネットに加え,底部には15mm厚高密度針葉樹系のMDFボードの「レゾ
ナンスダンピングウッドベース」がセットされ,重量級インシュレーターにより支えられていました。防振防磁型の
大型電源トランスは外付けとされて,振動の影響を抑えていました。

レゾナンスダンピングウッドベース外付けされた電源トランス

ヘッドは,録・再コンビネーションヘッドによる3ヘッド構成で,録音・再生ヘッドのヘッド巻線にStress free-6N
純度,99.99997%以上の超高純度銅線を採用していました。また,録音・再生ヘッドのヘッドコアには,磁束
密度の極めて高い12層ラミネート・ピュアアモルファスヘッドを搭載していました。
消去ヘッドには,アイワ伝統のセンダスト消去ヘッドを搭載していました。センダストはフェライトに比べて保磁力
が低く,自発磁化作用が生じにくいため,長期間使用しても高域劣化が起きにくいというメリットをもつということ
でした。

XK-S9000のヘッド周りフライホイール

走行系は,クローズドループデュアルキャプスタンメカニズムが搭載されていました。しかも2つのキャプスタンの表
面に滑り止めの特殊加工が施され,シャフト径を変えて共鳴を抑えたマイクログレイン処理・周波数分離型デュアル
キャプスタンを採用していました。さらに,左右のキャプスタン駆動用にミューフラットDCサーボモーター,録音/再生
巻き取り専用にDCモーター,早送り/巻き戻し専用にDCモーター,AMTS及びカセットボックス駆動用にDCモーター
を搭載するという贅沢な4モーター構成となっていました。通常兼用される定速走行用と早送り/巻き戻し用モーター
を独立させることでより音質を追求した構成でした。また,1個1個精密にダイナミックバランスがとられた高精度フラ
イホイールも搭載され,ワウ・フラッター0.018%(WRMS)という高精度な走行特性を実現していました。

XK-S9000で特徴的な機能として,カセットデッキとして世界初(あるいは世界唯一?)の「デジタルダイレクト入力
システム」がありました。カセットデッキながらリアル18ビット・リニア・デュアルD/Aコンバーターが内蔵され,CDプ
レーヤー,DAT,BSチューナーなどからのデジタルソースがそのままデジタル接続が可能で,ピュアな録音ができる
ようになっていました。
2つ目の特徴的な機能として,これも世界初のBTOR(Blank Tape Optimized Recording)システムがありました。
これは,未使用の生テープには消去電流を流さず信号系への消去電流の悪影響をカットしてよりクリアな録音をしよう
とするもので,ブランク状態のテープへの消去動作を行わないように切り換えられる機能でした。
ノイズリダクションとして,ドルビーBタイプ,Cタイプに加え,プロ用ドルビーSR(スペクトラル・レコーディング)を民生用
カセットに最適化したSタイプが装備されていました。また,ドルビーHX-Pro回路も搭載されていました。
さらに,400Hzと10kHzの発振器が内蔵され,テープの特性に合わせて録音感度,バイアスがマニュアルで調整でき
るマニュアルキャリブレーションが搭載されていました。また,録音ソースやテープに合わせて録音イコライザーをHIGH
NORM,LOWの3段階に切り換えられる録音イコライザ切換スイッチも装備されていました。
テープカウンターはリニアタイム型,レベルメーターは24セグメントFLディスプレイが搭載されていました。

伝送系はできるだけストレートな伝送が可能なように,電子スイッチや切換回路,コネクターやプリントパターンの引き回
しに至るまで極力排除され,スルーポジション付のMPX回路,金貼りリレーによる演奏時オープンタイプミューティング
回路など,OFF時に音質劣化を生じさせないように工夫されたメカニズムが搭載されていました。
プリント基板は,デジタル系,メカロジック系,ディスプレイ系,信号系,ドルビーNR系がそれぞれ独立とされ,十分な間
隔をおいて配置されていました。さらに,ディスプレイ系,メカロジック系はそれぞれ内部シャーシで隔離され,D/Aコンバ
ーター用のプリント基板は専用シールドケースによって完全隔離されるなど信号系への悪影響を徹底して抑えていまし
た。そして,D/Aコンバーターは使用しないときはすべてのデジタル系クロックを停止させることができるON/OFFスイッチ
も装備されていました。
また,電源部は,L・R専用の独立デュアル構成,D/Aコンバーター専用巻線,デジタル系/信号系の独立整流回路,独
立電源回路と完全独立電源方式が採用され,電源回路からの干渉を抑えていました。

XK-S9000の内部

パーツ等の面でもアイワのプレステージ機として,低容量のPC-OCC使用のヘッドワイヤーやトラップコイル,高精度ディテント
型録音ボリューム,70ミクロン厚銅箔プリント基板,特殊3層構造大型メタライズド・ポリエステルフィルムコンデンサー,極性表
示付OFC極太電源コード,OFC放熱板,金メッキ入出力ピンジャック,金メッキヘッドホンボリューム,窒素ガス封入金貼りリレー
などしっかりしたものが採用,搭載されていました。

XK-S7000の写真
aiwa XK-S7000
STEREO CASSETTE DECK ¥100,000

以上のように,XK-S9000はアイワの最上級機として凝りに凝った内容を持ち,すぐれた音質を実現していました。また,基本
的な部分は同一で,3モーター構成,録音イコライザ切換スイッチ,録音ボリューム,プリント基板などのパーツの面の簡略化な
どが行われた弟機XK-S7000(¥100,000)も発売されていました。DATが各社出揃ったデジタル録音機時代に発売された
XK-S9000,7000はアイワ最後の高級デッキとなってしまい,まさに最後のひと花といった感じになってしまいました。
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
 


最良の音質を求めて開発,
アイワカセットデッキの到達点です。

究極の録音機をめざした
こだわりのリファレンスカセットデッキ。

カセットデッキの歴史を築いた
アイワの高性能メカニズムと
先進の制振設計思想。

◎先進のノイズリダクションドルビーSタイプ採用。
◎テープ振動の徹底防止へ,
 世界初スーパーA・M・T・S搭載。
◎生テープ専用録音機能,世界初のBTORシステム内蔵。
◎世界初,デジタルダイレクト入力システム搭載。
◎世界初,ストレスフリー6N巻線ピュアアモルファスヘッド採用。
◎高域劣化の防止に,デュアルキャプスタン・メカニズムの
 消去ヘッドはセンダスト材を使用。
◎ワウ・フラッター0.018%を実現。4モーター・クローズドループ
 デュアルキャプスタンメカ。(XK-S9000)
◎一点も揺るがせにしない制振メカニズムを実現。
◎信号劣化の防止へ。シンプル&ストレート伝送。
◎干渉を高次元で排除。独立分離構造。
◎高精度録音のために。マニュアルキャリブレーション。
◎3ポジション録音イコライザ切換スイッチ。(XK-S9000)
◎クラフツマンシップが採用させた高音質パーツ&回路。
 ●ディスクリート構成による低出力インピーダンス強力電源
 ●新素材Stress free-6N巻線ピュアアモルファスヘッ ド
 ●PC-OCC低容量ヘッドワイヤー(再生イコライザーに直付け)
 ●PC-OCC巻線トラップコイル(低歪率コア使用)
 ●ディスクリート構成ドルビーHX-Pro回路(ON/OFF可能)
 ●高精度再生イコライザアンプ
 ●超低歪率ドルビーNR IC
 ●高精度ディテント型録音ボリューム(XK-S9000)
 ●70ミクロン厚銅箔プリント基板(XK-S9000)
 ●特殊3層構造大型メタライズド・ポリエステルフィルムコンデンサー
                      (XK-S9000)
 ●極性表示付OFC極太電源コード(XK-S9000)
 ●OFC放熱板(XK-S9000)
 ●銅メッキ放熱板
 ●低接触抵抗型入出力ピンジャック(金メッキ)
 ●高音質コンデンサ群
 ●高精度パーツ
 ●金メッキヘッドホン端子
 ●チッソガス封入金貼りリレー×3
 ●オーディオ/デジタル独立トランス
◎その他の特長
 ●オートローディング式カセットドア(世界初)
  カセットを入れると自動的に閉じます。
 ●スーパーバイアス回路
 ●精度が高く,貴重な生の音が録音可能。
  ゲイン切換付ローノイズマイクロホンアンプ(XK-S9000)
 ●3モードディスプレイON/OFFスイッチ(OFF時は,クロックが停止)
 ●他のデッキのキャリブレーション,スピーカーの位相チェックに利用できる
  低歪率発振器出力。
 ●クイックレスポンスAIメカニズム
 ●プリエンドウインカー付リニアカウンター
 ●高精度大型FLマルチディスプレイ  24セグメント×2chピークホールド付
  ピークメーター(AUTO/MANUAL/RESET可能)
 ●UVコート重量級サイドウッド(XK-S9000)
 ●リモートコントローラー
 
 


●主な仕様●


 
 
XK-S9000
XK-S7000
ヘッド構成
(3ヘッド)
Stressfree6N巻線ピュア・アモルファスヘッド 
ダブルギャップセンダスト消去ヘッド
Stressfree6N巻線ピュア・アモルファスヘッド 
ダブルギャップセンダスト消去ヘッド
モーター ミューフラットDCサーボモーター(キャプスタン専用)×1 
DCモーター(再生/録音巻取専用)×1
DCモーター(FF/RWD専用)×1
DCモーター(スーパーAMTS/カセットドア専用)×1
ミューフラットDCサーボモーター(キャプスタン専用)×1 
DCモーター(巻取及びFF/RWD用))×1

DCモーター(スーパーAMTS/カセットドア専用)×1

ワウ・フラッター 0.018%(WRMS)
±0.035%(W・PEAK)
0.025%(WRMS)
±0.045%(W・PEAK)
周波数特性 メタルテープ:(−20dB録音)8〜27kHz−10dB
                 13〜24kHz±3dB
CrOテープ:(−20dB録音)13〜22kHz±3dB
LHテープ  :(−20dB録音)13〜21kHz±3dB
メタルテープ:(−20dB録音)8〜25kHz−10dB
                 13〜23kHz±3dB
CrOテープ:(−20dB録音)13〜21kHz±3dB
LHテープ  :(−20dB録音)13〜20kHz±3dB
SN比 65dB(NR OFF,メタルテープピークレベル)
87dB(Dolby S NR ON,メタルテープピークレベル)
63dB(NR OFF,メタルテープピークレベル)
84dB(Dolby S NR ON,メタルテープピークレベル)
寸法 469W×151H×415Dmm(サイドウッド含む) 430W×151H×415Dmm
重量 14.0kg 11.8kg
※本ページに掲載したXK−S9000,XK-S7000の写真,仕様表等は1991年12月の
 AIWAのカタログより抜粋したもので,アイワ株式会社に著作権があります。したがって,
 これらの写真等を無断で転載・引用等することは法律で禁じられていますのでご注意くだ
 さい。     
    

 
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