XR-Q7の写真
SANSUI XR-Q7
COMPUTERIZED FULL AUTO D.D. PLAYER
               ¥74,800(カートリッジレス)

1981年にサンスイが発売したフルオートプレーヤーシステム。オーソドックスなデザインの中に新たな発想で
不要な振動を抑えようとする「サイレント・シンクローター」という特殊なメカニズムを搭載したサンスイの意欲作
でした。

XR-Q7の最大の特徴は,上記の「サイレント・シンクローター(Silent Synchrotor)」にありました。ターンテ
ーブルが回転する際やその回転をサーボによりコントロールする際にモーターのトルク変動の反作用として生
じるキャビネットのねじれ振動に着目し,従来キャビネットの重量そのもので抑えていた振動を,逆の力を発生
させて効果的に打ち消そうとするものでした。具体的には,ターンテーブルの下部に,ターンテーブルとは逆に
回転するシンクローター(振り子)によってターンテーブルと逆の方向のトルクを発生させるようになっていました。
このシンクローターが,ターンテーブルの回転から逆位相の信号を取り出し,それにより逆方向に完全にシンク
ロして回転するようになっていました。このような非常にユニークな仕組みにより,キャビネットの振動が4分の1
以下に抑えられ,カートリッジの性能がより発揮できるようになっていました。

サイレント・シンクローター

サイレントシンクローターと相まって不要な振動は抑えられていましたが,さらに,モーターそのものもトルク変動
の少ない滑らかな回転をめざした「F.F.(Friction Free)コアレスモーター」というサンスイ独自のモーターを搭載
していました。このモーターは,従来のコアレスモーターの抱える問題点を解消しようとサンスイが独自に開発した
モーターでした。従来のコアレスモーターでは,ステーターが磁性材料で作られているため,(1)ローターに取り付
けられた磁石とステーターの間に強い吸引力が働き,軸受けに強力な機械摩擦が生じる (2)磁性材のステータ
ーの上を磁極が走っていくことから,ヒステリシス現象によりローターの引きずられ現象が生じる (3)ステーターが
導電性材料であるため,うず電流損失によるブレーキ作用が生じる などの問題点があり,円滑な回転を妨げると
いうことでした。「F.F.コアレスモーター」では,ステーターが非磁性材料で作られ,磁気回路を形成するヨークロータ
ーがスピンドルに固定されて,ヨークの磁石とまったく同一に回転するようになっており,ステーターと磁石間に吸引
力は働かず,軸受けに力がかからないようになっていました。また,磁気回路を形成するヨークローターが磁石ととも
に回転しているため,磁気ヒステリシスもうず電流も生じないという構造になっていました。さらに,リニア駆動方式を
採用してスムーズな回転を実現していました。以上のようにモーターの裸特性を向上させ,その上に,960極という
きわめて緻密な磁気パルスをターンテーブルにコーティングしたクォーツロック方式を採用した結果,ワウ・フラッター
0.008%,SN比80dBという優れた特性を実現していました。

F.F.コアレスモーター

トーンアームには,サンスイ独自の「最適支持点アーム(Dynaoptimum Balanced Tonearm)」を搭載していま
した。このアームはピボット軸が動的バランス点で支持されているもので,アーム先端がベースからの影響を受けに
くく,また,針先からピックアップされた振動がピボットに伝わりにくいという利点を持ったアームでした。さらに,アーム
ベースは亜鉛ダイキャスト製,アーム,パイプは真鍮製,ヘッドシェルはアルミダイキャスト製として,高剛性設計が行
われ,無共振が徹底されていました。アームは,ヘッドシェル一体型のストレートアームが標準とされ,ユニバーサル
コネクター採用のS字型アームパイプが付属し,パイプ交換が可能となっていました。

XR-Q7のトーンアーム 

XR-Q7のアームは高感度で高剛性な本格的なものでしたが,4ビットマイクロコンピュータが制御する光電検出型の
無接触フルオート機構により,ボタン一つでオートリードイン,オートリターン,オートカット,オートリピートができる便利
なフルオートプレーヤーでもありました。

以上のように,XR-Q7は,ウッドキャビネットのオーソドックスなデザインの中に,新機構を備え,各部に本格的な作り
がなされた優れたアナログプレーヤーでした。サンスイというアナログプレーヤーではあまり話題にならないブランドで
もあったせいか,このXR-Q7も人気を得るというまではいきませんでしたが,バランスのとれたいいプレーヤーだったと
思います。
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介しましょう。
 
 

音楽が秘めやかな素肌をみせた。
いま,とぎすまされた耳に問う,
D.D.プレーヤーの新次元 XR-Q7

◎反作用は反作用でキャンセルする
 振動を根源から絶つ,
 まさに正攻法といえるサンスイの発想。
 D.D.プレーヤーの音質を新しい次元に導く,
 ニューテクノロジー「Silent Synchrotor」。
◎サンスイは,D.D.モーター自体の
 回転性能の良化にも目を向けた。
 新開発「FFコアレスモーター」。
◎音質的に吟味し尽くされたマテリアルを採用し,
 トーンアームの無共振化をさらに押し進めた
 最適支持点アーム
◎セーフティーで,確実な動作を実現した
 コンピューター・フルオート機構を装備。
◎高密度素材によるウッドキャビネットと,
 音質を考慮したターンテーブルシート。
 

●XR-Q7主要規格●


 
型式 コンピューター制御フルオートD.D.プレーヤー
駆動方式 電子制御ダイレクトドライブ
モーター クォーツPLLサーボFFコアレスモーター
回転数 33・1/3,45rpm
ターンテーブル 330mm,1.7kg,アルミダイキャスト製
ワウ・フラッター 0.009%以下(WRMS)
SN比 80dB以上(DIN-B)
起動特性 1秒(120°)at33・1/3rpm
回転数偏差 ±0.002%
温度特性 0.00003%/℃
負荷特性 0%
トーンアーム スタティックバランス型最適支持点方式ストレートアーム
実効長 245mm
オーバーハング 16mm
オフセットアングル 22°
適合カートリッジ重量 4〜9.5g
高さ調整範囲 ±3mm
フルオート機構 オートリードイン,オートリターン,オートリピート
マニュアルリフター付き
定格消費電力 8W
寸法 W490×H180×D430mm
重量 11kg
※本ページに掲載したXR-Q7の写真・仕様表等は1981年9月のサンスイの
 カタログより抜粋したもので,山水電気株式会社に著作権があります。
 したがって,これらの写真等を無断で転載,引用等をすることは法律で禁じら
 れていますので,ご注意ください。

                                       

★メニューにもどる             
  
   
★アナログプレーヤーPART2のページにもどる
 
 

現在もご使用中の方,また,かつて使っていた方。あるいは,思い出や印象のある方
そのほか,ご意見ご感想などをお寄せください。                      


メールはこちらへk-nisi@niji.or.jp
 
 
 
 
inserted by FC2 system