Accuphase C-280L
STEREO PREAMPLIFIER ¥640,000
                     ¥700,000
(1989年より)
1987年に,アキュフェーズが発売したプリアンプ。1982年に発売したC-280は,そのすぐれた性能で高い評価を得ていました。
そして約4年半ぶりにモデルチェンジされ,登場したのがC-280Lでした。外観デザインは,ほぼ継承され,見分けが付かないほ
どよく似ていますが,内部はしっかりと強化され,5年分の新しさ,技術が投入され完成度が高められていました。
C-280Lで最も大きく変わったところは,反転アンプを設けただけのバランス入出力対応ではなく,2アンプ構成による最も本格的
なバランス型のラインアンプを搭載したことで,ラインアンプ,ボリューム,バッファの部分がそれぞれ2倍の構成となり,バランス構
成が完全なものへとグレードアップされていました。
基本的には,モノフォニックアンプ2台の構成で,左右の干渉を遮断し,ヘッドアンプユニット,イコライザーアンプユニット,ラインアン
プユニットの各ユニットアンプ左右合計6個を,それぞれアルミハウジングに収納し「ユニット化」を図り,性能を高度に高めていました。
回路構成は,C-280から受け継いだ「全増幅段A級プッシュプル」+「カスコード方式」をさらに推し進め,カスコード接続アンプの
負荷側にFETを用い,バイポーラ・トランジスター使用時のベース電流リーク等の心配のない構成になっており,より色付けのな
い再生音が実現されていました。カスコード増幅器は,入力インピーダンスが低く,接地されているゲートによって入力と出力が
完全に遮断されるため,入出力の結合が無くなり超高域まで良好な特性が得られ,すぐれた裸特性の上にトータルでNFBをか
けて安定した増幅が行えるようになる回路構成となっていました。基本的には,差動増幅器,ドライバー増幅段,出力増幅段と
いう3段構成で,完全対称のコンプリメンタリー・プッシュプル回路となって,非常に高度な特性を確保していました。
全てのユニットアンプには,DCサーボ方式が採用されていました。ICによるDCサーボ回路が出力に発生した直流を検知して入
力に帰還し,DCドリフトの発生を抑えていました。C-280L全体では,トータルゲインは最大92dBに達するほどですが,DCドリ
フトの発生はほぼ皆無に抑えて,MC入力から出力までの全信号系の直結を実現していました。



ラインアンプ系は,コモンモードの雑音を除去する能力が高いバランス伝送を徹底し,新たにバランス入力回路を設け,ホット側と
コールド側にそれぞれ増幅器を設ける2アンプ構成の理想的な構成をとっていました。バランス入力XLRタイプ・コネクターは,2
系統備えられ,インプット・セレクターもホット,コールド単位で切り替えられるようになっており,レベルコントロールをするボリュー
ムも,完全にホットとコールドに分けられた精密4連ボリュームが搭載されていました。それぞれの増幅器は全く同一のコンプリ
メンタリー差動プッシュプル増幅回路が用いられた豪華な回路構成となっていました。

イコライザーアンプ,ヘッドアンプは,評価の高かったC-280のユニットがそのまま継承されていました。それだけ完成度が高かっ
たのでしょう。イコライザーアンプの基本的な回路構成は,ラインアンプの片側と同一で,特に差動増幅の入力段に低ノイズ素子
を厳選して使用していました。RIAA再生特性を作る抵抗,コンデンサーなどの素子も厳選されていました。特に重要なコンデン
サーには,オーディオ用として特に開発されたシルバード・マイカコンデンサーが採用されていました。このマイカコンデンサー
は,精選された高純度のマイカ片にスクリーン法によって銀薄膜を形成し,さらにガラスパターンを印刷するという特殊な加工と
構造になっており,これにより,コロナ放電開始電圧が高くなり,パルス的な高電圧にも安定して信号を通過させるというすぐれ
た特性が確保されており,色付けの少ない音質につながっていました。
MCカートリッジ用ヘッドアンプは,低い信号レベルに対応してノイズの発生を徹底して抑えるために,低雑音素子を入力回路に
用いるとともに,NFBループの低インピーダンス化を図り,抵抗雑音を減少させていました。さらに,DCサーボから発生するノイ
ズの影響を避けるために,差動増幅のマイナス側に直接帰還する方式ではなく,定電流源のベース側に帰還する方式がとら
れていました。
また,広範なMCカートリッジに対応し音質をコントロールするために,ヘッドアンプには,入力インピーダンスを10Ω,30Ω,
100Ωの3段階に切り替えられるようになっており,さらに,低出力カートリッジのために,通常のヘッドアンプ利得26dBの他
に32dBの高利得が得られるゲイン切り替えスイッチが設けられていました。
電源部は,左右チャンネルに専用の大型のトロイダル電源トランスを搭載し,電気的にも構造的にも完全に独立したモノ・
コンストラクションになっていました。さらに,広帯域にわたって低インピーダンス化を図るために,ユニットアンプごとに専用
の定電圧電源を搭載した,合計6個の「マルチプル・パワーサプライ方式」になっていました。ユニットアンプと定電圧電源は
厚手のアルミハウジングに収納されて,最短距離で結線され,高域におけるインピーダンスの上昇も防止されていました。
ハウジング内では,基板はしっかりとネジで固定され,A級増幅の出力素子と定電圧電源の素子は,放熱を兼ねて,アルミ
ハウジングに密着して固定されていました。これらの構造により,誘導と振動による共振も防止していました。
ファンクションのために信号経路を引き回すことによる音質劣化や不安定な動作を防ぐために,最短でストレートな信号経
路を構成できるように,スイッチが必要なその場所にリレーを設置し,各リレーをロジック回路で電子的にコントロールして
切り替える方式が採用されていました。リレーそのものも,オーディオ用,通信機用として特に開発された窒素ガス封入の
密閉型リレーが採用されていました。接点は金および銀パラジウム合金のクロスバー・ツイン方式で,低接点抵抗,高耐
久性を実現していました。さらに,信頼性を高めるために,低レベルの信号経路には,4回路並列で使用し,より完全をめざ
した構成となっていました。
C-280Lは,コントロールアンプではなくプリアンプでしたが,デジタルオーディオ等ソースの多様化が進む時代のプリアンプ
として多くの入・出力端子を装備していました。入力は,RCAジャックが8系統(CD,TUNER,LINE3系統,テープ2系統,
アナログディスク1系統),バランス入力がCD,LINE各1系統の合計10系統が備えられていました。出力は,RCAジャック
が2系統,バランス出力が1系統,そして録音出力が2系統の合計5系統が備えれていました。入・出力ジャックは,高級ロ
ジウム・メッキを施したジャックを特別に作り使用していました。ロジウム・メッキは,通信機やコンピューターのコネクターとし
て実績のある高い耐久性のあるもので,1μm厚で1億回の摺動に耐える硬度とすぐれた耐蝕性を備え,長期にわたって
すぐれたコンタクトを確保できるものでした。
機能的には,トーンコントロールは搭載されていませんでしたが,特に低音域の量感を増す2段階のコンペンセータースイッ
チが装備されていました。その他,瞬時に音量を下げることができる4ステップ(−∞,OFF,−20dB,−30dB)のロータリー
型アッテネーター,チャンネルバランスを調整できる,左右独立型のアッテネーター式・レベル・コントロール(0〜−6dB間は
0.5dBステップ,それ以降は1dBステップで正確に調整可能),10Hz,−18dB/octのサブソニックフィルターが装備されて
いました。
以上のように,C-280Lは,C-280のすぐれた性能,しっかりした設計を受け継ぎつつ,ソースの多様化の時代に合わせて
より完成度が高められたプリアンプでした。C-280に比べても,よりクセのない中庸な音をもち,しかし,繋がれた機器やソー
スの良さを引きだしてくれる1台でした。C-280を受け継いだパーシモン仕上げのウッドケースに納められたシンメトリーのゴー
ルドパネルのデザインは,アキュフェーズらしさ,日本的な高級感を強く印象づけるものでした。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



プリアンプの極み,
全段カスコードA級プッシュプル構成。
2トランスの完全モノ・コンストラクション。
各ユニットアンプは専用の定電圧電源で強化。
理想的なバランス伝送を可能にする
2アンプ構成ラインアンプ。

◎2アンプ構成による理想的なバランス伝送
 ラインアンプ
◎全増幅段A級カスコード・プッシュプル構成。
 諸特性を極限まで改善
◎ユニットアンプ全てにDCサーボ方式を採用。
 MC入力から出力まで純粋にストレートな構成
◎2トランスの完全モノ・コンストラクション。
 さらにユニットアンプの全てを専用の定電圧
 電源で強化
◎ロジック・リレーコントロールにより
 ストレートで最短の信号経路
◎NFB素子を厳選した低ノイズ・イコライザー
 アンプ
◎低雑音・広ダイナミックレンジの
 MCカートリッジ用ヘッドアンプ
◎広範なMCカートリッジとベストマッチングを
 とるヘッドアンプの入力インピーダンスと
 ゲイン切り替え
◎各増幅回路と専用定電圧電源を
 アルミハウジングに収納,シールドと防振を
 完全化
◎合計10系統の入力端子と5系統の出力端子
 を完備
◎3ステップ式ロータリー型アッテネーター
◎左右の出力差を精密にコントロールする
 独立型レベル・コントロール
◎重厚なパーシモン仕上げのウッドケース




●C-280L 保証特性●

周波数特性 
   
CD,TUNER・LINE・TAPE PLAY:UNBALANCED INPUT
  1.0〜350,000Hz +0,−3.0dB 
  20〜20,000Hz +0,−0.2dB
CD,LINE:BALANCED INPUT
  1.0〜700,000Hz +0,−3.0dB
AD:UNBALANCED INPUT
  20〜20,000Hz +0,−0.2dB
全高調波ひずみ率 0.005%(すべての入力端子にて)
入力感度/入力インピーダンス 
  AD:HEAD AMP OFF/MM 
  AD:HEAD AMP +26dB 
  AD:HEAD AMP +32dB 
  CD・LINE・TUNER・TAPE
  CD・LINE:BALANCED

2.0mV(定格出力時),0.5mV(EIA,出力0.5V時)/47kΩ 
0.1mV(定格出力時),0.025mV(EIA,出力0.5V時)/10Ω・30Ω・100Ω 
0.05mV(定格出力時),0.0125mV(EIA,出力0.5V時)/10Ω・30Ω・100Ω 
126mV(定格出力時),31.5mV(EIA,出力0.5V時)/20kΩ
126mV(定格出力時),31.5mV(EIA,出力0.5V時)/40kΩ(20kΩ/20kΩ)
定格出力/出力インピーダンス 
  OUTPUT(UNBALANCED) 
  OUTPUT(BALANCED) 
  TAPE REC

2.0V 1Ω/RCAフォノジャック 
2.0V 50Ω(25Ω/25Ω)/XLRタイプ・コネクター 
126mV 200Ω/AD時/RCAフォノジャック
S/N・入力換算雑音 
  AD:HEAD AMP OFF/MM 
  AD:HEAD AMP +26dB 
  AD:HEAD AMP +32dB 
  CD・LINE・TUNER・TAPE
  CD・LINE:BALANCED
      入力ショート・IHF-A補正              EIA S/N
90dB(定格入力時S/N),−140dBV(入力換算雑音)   86dB
78dB(定格入力時S/N),−152dBV(入力換算雑音)   76dB
72dB(定格入力時S/N),−152dBV(入力換算雑音)   76dB
115dB(定格入力時S/N),−128dBV(入力換算雑音)  95dB
115dB(定格入力時S/N),−128dBV(入力換算雑音)  95dB
最大出力レベル(ひずみ率0.005% 20〜20,000Hz)   OUTPUT(UNBALANCED) 10.0V
OUTPUT(BALANCED)10.0V
TAPE REC 19.0V/AD時
最大入力電圧(1kHz ひずみ率0.005%)   AD(HEAD AMP OFF)  :300mV 
AD(HEAD AMP +26dB):15mV 
AD(HEAD AMP +32dB):7.5mV 
最小負荷インピーダンス OUTPUT(UNBALANCED):1kΩ
OUTPUT(BALANCED)   :600Ω
TAPE REC           :10kΩ 
ゲイン   CD・TUNER・LINE・TAPE PLAY→OUTPUT    :18dB 
CD・TUNER・LINE・TAPE PLAY→REC OUTPUT:0dB 
AD(HEAD AMP OFF)→OUTPUT          :54dB 
AD(HEAD AMP OFF)→REC OUTPUT       :36dB 
AD(HEAD AMP +26dB)→OUTPUT        :80dB
AD(HEAD AMP +26dB)→REC OUTPUT    :62dB
AD(HEAD AMP +32dB)→OUTPUT        :86dB
AD(HEAD AMP +32dB)→REC OUTPUT     :68dB
UNBALANCED INPUT→BALANCED OUTPUT :24dB
ラウドネスコンペンセーター
 (音量調整 −30dB)
COMP1:+3dB(100Hz) 
COMP2:+8dB(100Hz),+6dB(20kHz)
サブソニック・フィルター 10Hz −18dB/oct
アッテネーター −20dB −30dB −∞
使用半導体 219Tr,58FET,26IC,174Di
電源及び消費電力 100V,117V,220V,240V,50/60Hz,  75W
寸法・重量 幅468mm×高さ171mm×奥行396mm  18.1kg


Accuphase C-280V
STEREO PREAMPLIFIER ¥800,000
1990年に,C-280LはC-280Vへとモデルチェンジされました。外観や外寸はほとんど違いがないので(違いは電源スイッ
チがゴールドになったくらい?)よく見ないと見分けが付かないほどですが,中身は大幅に変更・強化されたものになってい
ました。
ラインアンプは,バランス伝送方式の究極をめざし,バランス伝送時,アンバランス伝送時に基本的に同一回路で動作し,音質
の変化のないラインアンプをめざした設計となっていました。C-280Lでは,2アンプ構成のバランス回路でしたが,C-280Vで
は,基本的に3個の差動アンプで構成されていました。アンプ1が入力用,アンプ2と3が出力用となっており,アンプ2と3はそれ
ぞれの出力を相手側にフィードバックするというたすき掛けの関係にあり,+,−の対称信号を低いインピーダンスで送り出せ
るようになっていました。こうした回路構成で,出力の片側をアースしても両方のアンプが動作し,倍の出力が取り出せることに
なり,したがって,アンバランス接続時にも,入・出力ともに単にどちらかをグランドラインに接続するだけで正常に動作し,アン
プ構成が変化せず,バランス,アンバランスの特性変化が起きないという構成でした。
全ユニットアンプは,アキュフェーズ自慢の「対称型プッシュプル回路」で構成され,安定性が求められる入力回路には「カスコー
ド・ソースフォロアー」で超高域まで安定した動作が確保されていました。出力段は,「コンプリメンタリー・ダーリントン・プッシュプ
ル」で低出力インピーダンスとすぐれたリニアリティが確保されていました。また,ユニットアンプは全て,「DCサーボ回路」により
DCドリフトが防止されており,直結アンプで構成されていました。
イコライザーアンプも新開発されたものが搭載されていました。「全回路対称型プッシュプル」で構成されており,MM,MCそれぞ
れのカートリッジに対応した専用の入力回路を備えていました。MM入力時は,カートリッジの高出力インピーダンスに整合させ
て高S/NのFET素子で構成され,MC入力時には,微小信号を低インピーダンスで受けるため,低雑音素子による差動入力回
路を構成してNFBループの低インピーダンス化を図り,雑音の少ない再生を可能としていました。
MC入力に対して,入力インピーダンスが10・30・100Ωの3段階で選択できる機能,利得をカートリッジによって62dB(+26dB)
68dB(+32dB)に切り替えられる機能は継承されていました。また,C-280Lで1系統に絞られていたAD(アナログ・ディスク)
入力は2系統に増やされていました。
C-280Vの全体の構成は,ライン入力,ライン出力,フォノ・イコライザー,左右合計6つのユニットアンプで構成されており,それ
ぞれに専用定電圧電源部が付属した形になっていました。これらのユニットアンプがアルミハウジングに収納された構造は継承
されていましたが,C-280Lのハウジングが組み立て構造であったのに対し,C-280Vでは,8mm厚の硬質アルミによる枠組
みに5mm厚のふたを取り付けたという構造に変わり,強度が大きく高められていました。これに厚手ガラスエポキシのマザーボ
ードがしっかりネジで固定される構造で,電気的干渉,機械的振動からの影響をカットしていました。また,マザーボードをはじ
めとする基板は,銅箔の上に金メッキが施された金色の基板になっていました。
電源部は,左右の分離に加え,アナログディスク再生の音質を高めるために,イコライザー用の電源も分離され,4つの独立し
たEIトランスを搭載した,「4トランス完全独立電源」が構成され,フィルターコンデンサーの全容量は120,000μFに達する
ものでした。
C-280Vでは,ボリュームが新開発の「CP(コンダクティブ・プラスチック)4連動音量調整器」に強化されていました。このボリュー
ムは,松下電器(現パナソニック)と共同開発されたもので,スタジオ用として使われるCP素子抵抗体を用いたボリュームで,従来
にない新構造が採用され極限ともいえる性能を実現していました。CP抵抗体は抵抗素子を印刷後,高温加圧成形することにより
表面は鏡面状に仕上げられた低接触抵抗,低歪率の素子で,抵抗体と接触するブラシは金メッキ多接点型が採用され,外部端子
と一体構造にして金属接合面をなくし,異種金属歪みを低減していました。また,回転方式は,通常のブラシが回転する方法ではな
く,これを固定して抵抗体が回転するという独創的な構造となっていました。このため,内部の接触点は大幅に減少し,接点グリー
スも不要となり,耐久性が高まった理想的な構造が実現されていました。ボリューム全体は,直径8mmの極太真鍮シャフトをアルミ
切削軸受けで支持し,4個の素子をそれぞれ高精度アルミ切削ケースに収納して完全なシールドを施した構造になっていました。可
変方式は理想的な連続可変型で,トラッキングエラーは−60dBの位置で,実測0.5dB以内という超高精度が実現されていました。
機能的には,C-280Lからいくつかの面で強化されていました。ロータリー型アッテネーターは,5ステップ(−∞,OFF,−6dB−20dB
−30dB)にステップが増やされていました。そして,新たに,装置全体の位相を反転させて,アブソリュート・フェーズを調整するフェー
ズ・スイッチが設けられていました。
入力は,AD入力とLINE BALANCE入力が1系統ずつ増えて12系統となり,出力は,BALANCE出力が1系統増えて6系統となってお
り,入出力ともより充実していました。信号の切換は,端子より直結されたロジック・リレーコントロール回路により窒素ガス封入の完全密
閉型リレーで,最短で行われる構造は継承されていましたが,端子パネルがリアパネルから独立した構造になっていました。
以上のように,C-280Vは,10万円の価格アップが示すように,技術面,物量面とも大きく強化が図られ,より,鮮明な力強い音になっ
ていました。アナログディスク時代のプリアンプとして最後の世代のモデルとなり,ある意味1つの頂点となった1台であったといえるかと
思います。パーツ,構造等の面でも贅沢な内容をもち,現在同様の内容のものを作るとなると,おそらくこの2倍を超えるのではないかと
いわれています。私も,縁あって,このC-280Vを使うこととなり,同時期のパワーアンプP-800との組み合わせで,CD,アナログディ
スク双方とも,一つ一つの音に力のこもったクリアな音を聴かせてくれています。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



プリアンプの究極・・・・理想のバランス伝送方式
ラインアンプを実現。
A級プッシュプル回路と専用定電圧電源で
強化した各ユニットアンプ,
4独立電源トランスによる
完全モノ・コンストラクション構成。
CP抵抗素子による4連動音量調整器を採用。

◎究極のバランス伝送方式ラインアンプ。
◎全増幅段A級プッシュプル構成DCサーボ方式
 により極限的特性
◎左右独立,更にライン,イコライザーを独立・4トラ
 ンスによる完全モノ・コンストラクションの理想電源
◎新開発CP(コンダクティブ・プラスチック)4連動
 音量調整器を採用
◎高音質・長期安定性に優れたロジック・リレーコン
 トロール信号切り替え回路
◎MM,MC全てのカートリッジにベストマッチング
 するフォノ・イコライザーアンプ
◎ユニットアンプをアルミハウジングに収納。これら
 を8mm厚硬質アルミの強靱な構造部に固定。
 遮蔽と防振の完全化
◎合計12系統の入力端子と6系統の出力端子
◎5ステップ式ロータリー型アッテネーター
◎左右の出力を精密にコントロールする独立型
 レベル・コントロール
◎音質劣化がない位相切り替え機構
◎重厚なパーシモン仕上げのウッドケース




●C-280V 保証特性●

周波数特性 
   
BALANCED INPUT:(CD/LINE)
  1.0〜350,000Hz +0,−3.0dB 
  20〜20,000Hz +0,−0.2dB
UNBALANCED INPUT:(CD/TUNER/LINE/TAPE LPLAY)
  1.0〜350,000Hz +0,−3.0dB 
  20〜20,000Hz +0,−0.2dB
AD INPUT
  20〜20,000Hz +0.2,−0.2dB
全高調波ひずみ率 0.005%(すべての入力端子にて)
入力感度/入力インピーダンス 
  AD:MM 
  AD:MC/26dB 
  AD:MC/32dB 
  BALANCED
  UNBALANCED

2.0mV(定格出力時),0.5mV(0.5V出力時)/47kΩ 
0.1mV(定格出力時),0.025mV(0.5V出力時)/10Ω・30Ω・100Ω 
0.05mV(定格出力時),0.0125mV(0.5V出力時)/10Ω・30Ω・100Ω 
126mV(定格出力時),31.5mV(0.5V出力時)/40kΩ(20kΩ/20kΩ)
126mV(定格出力時),31.5mV(0.5V出力時)/20kΩ
定格出力/出力インピーダンス 
  BALAMCED OUTPUT 
  UNBALANCED OUTPUT
  TAPE REC

2.0V 10Ω(5Ω/5Ω)/XLRタイプ・コネクター
2.0V 5Ω/RCAフォノジャック   
126mV 200Ω/RCAフォノジャック/AD入力時
S/N・入力換算雑音 
  AD:MM 
  AD:MC/26dB 
  AD:MC/32dB 
  BALANCED
  UNBALANCED
      入力ショート・IHF-A補正              EIA S/N
90dB(定格入力時S/N),−140dBV(入力換算雑音)   86dB
78dB(定格入力時S/N),−152dBV(入力換算雑音)   76dB
72dB(定格入力時S/N),−152dBV(入力換算雑音)   76dB
115dB(定格入力時S/N),−128dBV(入力換算雑音)  95dB
115dB(定格入力時S/N),−128dBV(入力換算雑音)  95dB
最大出力レベル(ひずみ率0.005% 20〜20,000Hz)   BALANCED OUTPUT: 7.0V XLRタイプ・コネクター
UNBALANCED OUTPUT:7.0V RCAフォノジャック
TAPE REC:19.0V RCAフォノジャック/AD入力時
AD最大入力電圧(1kHz ひずみ率0.005%)   MM INPUT    :300mV 
MC/26dB INPUT:15mV 
MC/32dB INPUT:7.5mV 
最小負荷インピーダンス BALANCED OUTPUT  :600Ω(300Ω/300Ω)
UNBALANCED OUTPUT :600Ω
TAPE REC          :10kΩ 
ゲイン BALANCED INPUT→BALANCED OUTPUT       :18dB 
BALANCED INPUT→UNBALANCED OUTPUT    :18dB
UNBALANCED INPUT→BALANCED OUTPUT    :18dB 
UNBALANCED INPUT→UNBALANCED OUTPUT  :18dB
AD(MM)INPUT→BALANCED OUTPUT         :54dB
AD(MM)INPUT→UNBALANCED OUTPUT       :54dB 
AD(MM)INPUT→REC OUTPUT               :0dB 
AD(MC:26/32dB)INPUT→BALANCED OUTPUT   :80/86dB
AD(MC:26/32dB)INPUT→UNBALANCED OUTPUT:80/86dB
AD(MC:26/32dB)INPUT→REC OUTPUT        :62/86dB
ラウドネスコンペンセーター
 (音量調整 −30dB)
1:+3dB(100Hz) 
2:+8dB(100Hz),+6dB(20kHz)
サブソニック・フィルター 10Hz −18dB/oct
アッテネーター −6dB,−20dB −30dB −∞
使用半導体 216Tr,15FET,18IC,158Di
電源及び消費電力 100V,117V,220V,240V,50/60Hz,  56W
寸法・重量 幅468mm×高さ171mm×奥行396  25.2kg
※ 本ページに掲載したC-280L,C-280Vの写真,仕様表等は1987年
 1990年のAccuphaseのカタログより抜粋したもので,アキュフェーズ
 株式会社に著作権があります。したがって,これらの写真等を無断で転載
 ・引用等することは法律で禁じられていますのでご注意ください。

  
 
 
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