OPTONICA
CP-4500
3WAY SPEAKER SYSTEM ¥65,000
1975年に,オプトニカ(シャープ)が発売したスピーカーシステム。シャープは,このころOPTONICAというオー
ディオブランドを立ち上げ,力の入ったオーディオ機器を発売していきました。スピーカーとしては,リボン型トゥ
イーターユニットを搭載した
CP-5000を発売し,その弟機として発売されたのがCP-4500でした。
ウーファーは,30cm口径のコーン型で,オプトニカ自慢の「NEW B&Bコーン」が採用されていました。B&B
コーンは,(Beating Pulp and excellent Bast Fiber)の略で,北欧産パルプに,高い強度を持つ和紙
(Bast Fiber)を特殊処理して配合したもので,軽量でヤング率が高く適度な内部損失を持つというものでした。
「NEW B&Bコーン」は,さらにアルカリ叩解中性サイジング処理(耐水性を高めたり,毛羽立ちをしないため
の処理)を施すことで,より強度の高いコーンにグレードアップしたものでした。
駆動系には,銅キャップつき磁気回路,プレート厚の約2.5倍の巻巾をもつロングボイスコイルを採用し,歪み
を抑えていました。フレームは,振動・共振を抑えるアルミダイカストフーレムが採用され,非直線性歪の発生を
抑える有孔ダストキャップを採用し,ダストキャップ自体も開口部の補強成型などで低音再生の改善が図られて
いました。
スコーカーは,4cm口径のドーム型で,このドーム型ユニットは,アルミナ繊維とパルプ繊維を混合成型し,特殊
アクリル樹脂でコーティングしたもので,ハードドームとソフトドームの特長を合わせ持つというものでした。
さらに,有孔ポールと大きいバックキャビティにより,foを260Hzと低くして,位相回転の大きい帯域のクロスオー
バーを避け,音像定位の向上を図っていました。また,能率向上のためのアルミボイスコイル,振動を抑えるアル
ミダイカストフレーム,指向性とレスポンスの改善を図ったイコライザが採用されていました。
トゥイーターは,2.4cm口径のドーム型で,スコーカー同様に,アルミナ繊維とパルプ繊維を混合成型したユニッ
トで,アルミボイスコイル,イコライザも同様に採用されていました。
ネットワークは,リアクタンス補償回路を挿入した12dB/octのLC形低損失ディバイディングネットワークを搭載
していました。特にトゥイーター部のHIGHパス回路には,損失のきわめて少ないメタライズド・ポリエステル・フィル
ム・コンデンサを使用していました。また,前面バッフルに,トゥイーター用,スコーカー用にそれぞれ,+3dB〜MIN
までの調整ができる連続可変型のレベルコントローラーがついていました。
また,2ウェイ,3ウェイのマルチアンプでの駆動にも対応して,背面に各スピーカーユニットの端子が設けられてい
ました。
エンクロージャーは,上級機CP-5000と同じもので,内容積65リットルの密閉型でした。ユニットから再生される
音波の波面の乱れを防ぎ,指向性を向上させるために,前面バッフルは角が面取りされたエッジレスタイプとなっ
ていました。また,ユニット配置も直線配置とされていました。
以上のように,CP-4500は,オプトニカブランドの立ち上げ時期に発売された,スピーカーシステムの中級機とし
て,ユニット,エンクロージャーとも力の入った作りがなされていました。上級機CP-5000と同じエンクロージャー
を持つなど,中級機としてはかなり大型で重量のあるシステムで,繊細さももったしっかりした音をもっていました。
オプトニカというブランド故か,また,リボントゥイーターの上級機CP-5000の陰に隠れた感じで,目立つ存在で
はありませんでしたが,実力派の1台でした。