CORAL CX-7
SPEAKER SYSTEM ¥49,000
1975年に,コーラルが発売したスピーカーシステム。コーラルは,1946年に創業した
ブランドで,コーン紙,スピーカーユニット製造から始まっていました。そのため,自作派
のユーザーなどからは,ユニットメーカーとして高い支持を得ていました。1960年代頃
からスピーカーシステムを発売し,コストパフォーマンスの高いモデルを作っていました。
そんなコーラルが1970年代に展開した「CXシリーズ」の上級機がCX-7でした。CX-7
は,3ウェイの密閉型システムで,自社製のユニットとエンクロージャーで構成され,その
作りとコストパフォーマンスの高さは,コーラルならではのものでした。



トゥイーターは,ハードドーム型で,ダイアフラムには厚さ18ミクロンのきわめて薄いスー
パー・ジュラルミンに,精密電気炉による熱処理をしたものが搭載されていました。この
トゥイーターには,指向性と高域特性の改善のために広拡散型イコライザーが搭載され
ていました。



イコライザーは,テーパー部をもちホーン効果を有するA部と,その周辺にあって,A部
より長い音道を有するB部から成り,振動板にごく近接して設置されていました。より,
再生周波数が高くなり,振動板の内周部A部と外周部B部の位相差が無視し得なくなっ
ても近接したイコライザーにより,放射波の回り込みが少なく抑えられ,再生高域周波
が高くとれるようになっていました。また,放射波は,長い音道を通過するB部よりの波
はA部よりも遅れることとなり,イコライザーを通過した放射波は等価的に球面波に近
付くようになっていました。
ボイスコイルには,軽量化を図るため,高導電率のアルミ合金のリボン線を使用した
エッジワイズ巻としていました。高磁束密度の精密磁気回路と軽量硬質の振動板によ
り過渡特性,分解能にすぐれた高域再生を実現していました。



スコーカーは,ソフトドーム型で,ダイアフラムには,厳選された繊維よりダイアフラム専
用に織り上げた生地を成形し,両面に制動剤をダブルコーティングしたものが搭載され
ていました。ボイスコイルには,CCAW(銅被覆アルミニウム線)が採用され,ダイア
フラムとの質量バランスを最適に保ち,高域限界を拡大するとともに,過渡特性,解像
度を向上させていました。強力な磁気回路による駆動力,制動力とあいまってソフトで
クリアな音質を実現していました。




ウーファーは,30cm口径のコーン型で,振動板には,新開発のマイクロクリスタルコーン
紙を採用していました。多種にわたるパルプの中から材料を厳選し,特殊な漉法によりパ
ルプのからみ合いと,適度な内部損失をもたせたコーン紙の表面に,比重0.3,直径0.1
mm程度の中空のクリスタル(セラミック)微粒子を,特殊な方法でコーティングしたものでし
た。こうした構造による,ヤング率の大きいかつ柔軟性に富んだコーン紙は,2kHz以下の
分割振動を抑え,重低音と中低音において過渡特性にすぐれたコーン紙となっていました。
エッジ部は,直線性に富んだハイリニア型のフリーエッジを採用していました。中低域でのリ
ニアリティを高め,さらに,適度の内部損失を有する材質と柔軟性,耐候性,耐老化性にす
ぐれたコーティング材の採用により,中域の反射を吸収し,歪みの少ない特性を確保してい
ました。



ネットワークは,ウーファーには高透磁率のフェライトコア使用のコイルを採用して,大入力時
の非直線性歪を抑えていました。ハイレンジ及びミッドレンジには,マイラーコンデンサーを使
用し,損失が少なく過渡特性を高めていました。
フロントバッフル上には,レベルコントロールが設けられていました。中音用(MID-RANGE)
と高音用(HIGH-RANGE)それぞれ独立して3段階に変化できる切換型アッテネーターとなっ
ていました。

エンクロージャーは,大入力時にも不要振動を生じにくい高密度多層構造パーティクルボード
が使用され,側板,バッフル板,裏板に箱の振動を計算に入れた補強が行われていました。
エンクロージャー内部には,通常のグラスウールよりも吸音効果の高いエステルウール,テト
ロンウール及び軟質フェルト吸音材の3種類を使い,定在波の発生を抑え,内部での反射に
よる音の乱れを低減する設計になっていました。バッフル上のスピーカーユニットの配置は指
向特性を重視して,左右対称配置となっていました。
エンクロージャーの表面材は,高級家具にも用いられるブラジリアンローズウッドの天然木を
使用し,硬質ポリウレタン塗装仕上げとなっていました。

以上のように,CX-7は,スピーカーユニットメーカーとして実力のあったメーカーらしく,しっか
りした作りの,コストパフォーマンスにすぐれたスピーカーシステムとなっていました。中高域に
かけて明るく華やかな音をもち,音楽を楽しく聴くことができる1台でした。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



音楽の情感を心ゆくまでうたいあげる
スピーカーシステム




●規格●

使用スピーカー  30cmウーハー
ソフトドームスコーカー
ハードドームスーパートゥイーター 
インピーダンス 8Ω 
プログラムソース入力  80W 
周波数帯域  35Hz~40,000Hz 
音圧レベル  93dB(新JIS 1m) 
クロスオーバー  1,500Hz 8,000Hz 
外形寸法  580H×350W×314Dmm 
重量  17kg 
仕上  ローズウッド 
※本ページに掲載したCX-7写真・仕様表等は1975年の
CORAL
のカタログより抜粋したもので,コーラル音響株式
会社に著作権があります。
したがって,これらの写真等を
無断で転載,引用等をすることは法律で禁
じられています
ので,ご注意ください。
 

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