KX-880SRの写真
TRIO KX−880SR
STEREO CASSETE DECK ¥69,800
トリオ(現ケンウッド)が,1982年に発売し,高剛性サイレントメカの高性能ぶりで好評を博したKX−880の2世代目のモデル
です。2ヘッド,シングルキャプスタンというシンプルな構造ながら,基本性能を重視し,しっかりしたメカニズムを持っていたこと
で,スペックよりも音の良さで人気となったカセットデッキでした。この2世代目は特に価格を超えた優れた性能を持っており,当
時,私自身もサブデッキとして購入を考えたことがあったことを思い出します。                             

KX−880SRはスペック的には,ただの2ヘッドのシングルキャプスタンのデッキでしたが,そのシンプルな構造を生かして,ク
ラスを超えた高い精度と剛性を実現した「高剛性サイレントメカ」を特徴としていました。これは,振動解析をしっかり行い,テープ
ガイド,ヘッドベースなどの主要な部分に剛性の高い金属部品を採用し,高性能化を図ったもので,シンプルな構造と合わせ,
高い耐久性も実現していました。実際このデッキは,トラブルも少なかったと聞いています。                     

テープ駆動系は,キャプスタンをFGサーボモーターによるダイレクトドライブを採用し,ワウ・フラッター0.027%と安定した回転
を実現していました。アンプ技術に優れるトリオらしく,モーターのアースの取り方にも一工夫をしてモーターによるノイズを低減
していたそうです。                                                               

ヘッドは,録音再生ヘッドにアモルファスヘッドを採用していました。アモルファスは当時最新のヘッド素材で,このアモルファス
を45μの薄い膜に加工し(ガラスに近い硬い物性なので加工はかなり大変なはずです)13枚をラミネートしたものでした。無
酸素銅線を巻線に採用し,すぐれた素材と相まって,2ヘッドながら高域まですっきりとのびた録音・再生ができました。あわせ
て高い耐摩耗特性を誇っていました。                                                    

すぐれたアンプ技術を持つトリオらしく,録音アンプや電源駆動回路などにも配慮がされていたようです。録音アンプICは録音
ヘッドのインピーダンス変化の影響を受けにくい定電流駆動録音アンプになっていました。また,TLLEと呼ぶ,定電流駆動回
路により安定した録音ヘッド,アンプ系の安定した駆動を図っていました。                              

機能的にも使いやすい機能を実現し,思いの外多機能でした。その中心となっていたのが,DPSSと呼ぶ頭出し機能でした。
これは,「前後1曲頭出し」「希望曲の頭出し」「1曲リピート」「ワンサイド・フルリピート」「インデックス・スキャン」「ブランク・サー
チ」など現在のMDにも通じる多彩な機能を持っていました。テープカウンターも,DPSSの曲番表示,テープ残量計の2つの機
能を自動的に切り換える便利なものでした。                                                 

とにかく,このKX−880SRは,69,800円という手ごろな価格ながら,シンプルな構造をきちんと仕上げ,機能を使いやすく
整理した,道具として使いやすく性能の良いデッキでした。そのため,人気を得て,KX−880〜KX−880Gまで改良されなが
ら長く作られ続けました。驚くほど高価でもなく,スペックも派手ではありませんが,名機と呼べるモデルだったと思います。
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。

 



カセットデッキは音場空間までも録音できる。
もはやデッキはテープ幅3.81mmの枠を重荷
とは思わなくなってきた。
◎忠実な磁気録音を可能にする
  定電流駆動録音アンプIC
◎ここが違うトリオの定電流駆動回路
  TLLE(ツイン・ループ・リニア・エキサイター)
◎ここまで徹底した高剛性サイレント・メカ
◎±2電源回路による音質重視設計
◎新開発のモーター駆動回路
◎無酸素銅を採用したニュー・アモルファス・ヘッド
◎チャンネル間位相変異の三次元測定法
◎専用ICによりMOL特性を高めたドルビーC
◎頭脳プレイのNew DPSS
      
 

●KX−880SR SPECIFICATION●


トラック形式 ステレオ
録音形式 交流バイアス(105kHz)
ヘッド 録音・再生(アモルファスアロイヘッド)×1 
消去(ダブルギャップフェライトヘッド)×1
モーター キャプスタンモーター(FGサーボDDモーター)×1 
リールモーター(DCモーター)×1 
メカ駆動用モーター(DCモーター)×1
ワウ・フラッター 0.054%W・Peak(EIAJ) 
0.027%(WRMS)
早巻時間 約80秒(C−54)
周波数特性 ノーマルテープ 20〜18,000Hz ±3dB 
クロームテープ 20〜19,000Hz ±3dB 
メタルテープ   20〜22,000Hz ±3dB
ひずみ率 0.8%(1kHz,3次高調波ひずみ率。メタルテープ)
SN比 EIAJメタルテープ   57dB 
Dolby Ctype ON 74dB 
Dolby Ctype ON 62dB 
Dolby NR OFF  59dB
入力端子 マイク 0.3mV(適合インピーダンス600Ω) 
ライン 77.5mV(適合インピーダンス50kΩ)
出力端子 ライン 0.77V(出力インピーダンス2kΩ) 
ヘッドホーン 0.85mW(出力負荷インピーダンス8Ω) 
電源 100V AC 50Hz/60Hz
消費電力 AC25W(電気用品取締法に基づく表示)
最大外形寸法 幅440×高さ98×奥行300mm(EIAJ) 
幅440×高さ111×奥行322mm(突起物含む)
重量 5.9kg
※本ページに掲載したKX−880SRの写真,仕様表等は1984年2月のTRIOのカタ   
 ログより抜粋したもので,ケンウッド株式会社に著作権があります。したがって,これ
 らの写真等を無断で転載・引用等することは法律で禁じられていますのでご注意くだ
 さい。
    
 

★メニューにもどる        
 
 

★テープデッキのページにもどる
 
 

現在もご使用中の方,また,かつて使っていた方。あるいは,思い出や印象のある方
そのほか,ご意見ご感想などをお寄せください。


メールはこちらへk-nisi@niji.or.jp


inserted by FC2 system