ｍａｒａｎｔｚ　Ｓｃ-１１
ＳＴＥＲＥＯ　ＣＯＮＴＲＯＬ　ＣＯＮＳＯＬＥ　￥３００，０００

１９８３年に，マランツが発売したコントロールアンプ。もともと１９５３年にスタートしたアメリカのオーディオ
ブランドだったマランツは，１９６４年にスーパースコープ社の傘下となり，日本では，スタンダード工業が
マランツブランドのオーディオ製品の生産を担当していました。そして，１９７５年にスタンダード工業は名
称を変えて日本マランツとなり，その後１９８０年にはフィリップス傘下に入りました。その後，デノンと経営
統合してＤ＆Ｍホールディングスの傘下となりました。現在ではマランツ は国内でも数少ない日本の高級
オーディオブランドとして頑張っていることは周知のことでしょう。そんなマランツは，日本マランツとなった
頃から，セパレートアンプの分野でも，新しいシリーズを展開していきました。その中のコントロールアンプ
で最上級機であったＳｃ１０００に次ぐモデルとして発売されたコントロールアンプがＳｃ-１１でした。

Ｓｃ-１１は，イコライザーアンプ，フラットアンプを，入力から出力まで完全全段プッシュプル回路構成のＤＣ
ユニットアンプとしていました。こうした構成により，低ＮＦＢで，低歪み，高Ｓ/Ｎを実現し，すぐれた過渡特
性も確保していました。

イコライザーは，低域のターンオーバーにＮＦ回路，高域のロールオフをＣＲネットワークで行うＮＦ-ＣＲ型
イコライザーを搭載し，すぐれた周波数特性と広いダイナミックレンジを確保し，ＲＩＡＡ偏差を僅少に抑え
ていました。また，初段には，超ローノイズ・Ｈｉｇｈ ｇｍＦＥＴ＋カスコードブートストラップ回路を搭載してイン
ピーダンス変動の悪影響を受けることを抑えていました。
出力段は，２段ＳＥＰＰ回路で，十分なアイドリング電流を流すことで完全Ａ級動作としていました。
さらに，トーンコントロール回路は，低インピーダンスＮＦＢ回路を内蔵し，音質とＳ/Ｎを大きく向上させたも
のとなっていました。



Ｓｃ-１１のデザインは，上級機のＳｃ１０００の流れを汲むもので，パネルレイアウトも共通するイメージを
もっており，電源スイッチ，ボリューム，インプットセレクター，ＤＩＲＥＣＴスイッチ以外のツマミ，スイッチ類
はシーリングパネル内に収められており，コントロールアンプといえる比較的多機能なアンプとなっていま
した。
特徴的な機能・ＤＩＲＥＣＴスイッチは，信号をセレクターとボリューム，そして出力アンプを通過して直接パ
ワーアンプへシンプルな信号ラインとなるもので，実使用状態でのＳ/Ｎ，音質を改善する，デジタルソース
の時代に対応したものでした。
トーンコントロールは，ＢＡＳＳ，ＴＲＥＢＬＥ独立型で，その他，ＳＴＥＲＥＯ/ＭＯＮＯ切換，サブソニックフィ
ルター，ＰＲＥ ＯＵＴ/ＰＨＯＮＥＳ ＯＵＴ切換，バランスボリュームなどが搭載されていました。
入力は，ＰＨＯＮＯ，ＴＵＮＥＲ，ＣＤ，ＡＵＸ，そしてＴＡＰＥ２系統が搭載されていました。ＰＨＯＮＯ入力は，
ＭＭカートリッジだけでなくＭＣカートリッジにも対応しており，専用のＭＣヘッドアンプも搭載されていまし
た。ＭＣヘッドアンプは，新開発のもので，片チャンネル６石の超ローノイズトランジスターを並列接続した
プッシュプル構成の本格的なものでした。ＴＡＰＥ入力は，ＲＥＣ ＯＦＦや相互ダビングもスイッチ１つで可能
となっていました。



以上のように，Ｓｃ-１１は，本格的なコントロールアンプとして，オーソドックスに性能を煮詰めつつ，機能
面でもしっかりとしたアンプでした。バランスの整った誇張感の少ない音は，デザインのイメージにも通じる
温かみのあるもので，音楽をほどよく聴かせてくれる１台となっていました。

以下に，当時のカタログの一部をご紹介します。

「感性の継承」

◎Ｄレンジと過渡特性を追求した高音質回路
◎本格的ＭＣヘッドアンプがすべてのＭＣに対応
◎より高Ｓ/Ｎ，ハイスピードな再生を実現するジャンプ機構

●ＳＰＥＣＩＦＩＣＡＴＩＯＮＳ●

★セパレートアンプＰＡＲＴ９にもどる
 
 

現在もご使用中の方，また，かつて使っていた方。あるいは，思い出や印象のある方
そのほか，ご意見ご感想などをお寄せください。

↓
k-nisi@niji.or.jp