SC-77の写真
SANSUI SC-77
STEREO CASSETTE DECK ¥73,800

1979年に,サンスイが発売したカセットデッキ。サンスイのカセットデッキとして初のメタルテープ対応型カセット
デッキのシリーズSC-77,SC-55(¥59,800),SC-33(¥49,800)といった「SC-2桁」シリーズの最上位
機で,サンスイらしいブラックパネルの精悍なデザインも特徴的でした。

SC-77の1つの特徴は,「ダイレクトマチック方式」と称する,カセット装着方式がありました。いわゆるカセットホ
ルダー(カセットテープを入れるポケットのような部分)がなく,カセットテープを直接メカニズム部に装着する方式
で,同じような方式は,当時パイオニア,ヤマハなどいくつかのブランドのカセットデッキに見られるようになってい
ました。サンスイは最も早い時期からこの方式を採用していたブランドでした。この「ダイレクトマチック方式」では
カセットハーフをプランジャーによりガッチリとホールドし,カセットハーフの振動やズレを防いで,ヘッドタッチの正
確さを確保しようとしたものでした。ただ,この方式は,メカニズムにほこりが入りそうなことと,カセットを入れると
ころにフタがないことへの抵抗感があったためか,それ以降主流にはならなかったようです。

ダイレクトマチック方式

走行メカニズムは,リールとキャプスタンを別々のモーターで駆動する独立2モーター方式が採用され,キャプスタ
ン駆動用には,高精度のFGサーボモーターを,リール駆動用にはトルクの強いDCモーターを搭載していました。

SC-77の走行メカニズム

走行系は,シングルキャプスタン方式ですが,新開発の「ローラーバックテンション方式」を採用していました。これ
は,従来のフェルト圧着式のテープバックテンションに代わり,ベルト駆動ローラーの回転摩擦を活用したバックテン
ションで,滑らかなテープ送り出しを実現し,テープの巻き量変化に伴うバックテンションのトルク変化も抑えられてい
ました。

SC-77のヘッド

ヘッドは,2ヘッド構成で,録再ヘッドには,「オール・フェジアロイヘッド」を搭載していました。これは,フェライトの
約2.4倍,パーマロイの約1.7倍という磁気飽和レベルと低歪み特性のFe-Si-Al合金つまりセンダスト合金によ
るヘッドで,チップ状ではなく,接合ロスのない一体構造のヘッドでした。特殊研磨により低域特性のよりハイパボ
リック形状に加工され,コンターエフェクトも抑えられていました。消去ヘッドには,消去率70dB以上の2ギャップ
Hi-Bフェライト消去ヘッドが搭載され,保持力の高いメタルテープに対応していました。

SC-77では,アンプのサンスイらしく,録音・再生アンプの充実が図られ,録音・再生系とも,入力から出力まで
オールDCアンプ構成となっていました。イコライザーアンプには,デュアルFET差動によるプッシュプルドライブ片
ch7石構成のワイドレンジDCアンプが搭載され,フラットアンプには,サンスイのオリジナルICによる19石相当の
低歪率特性のプッシュプル・ドライブ・ワイドレンジDCアンプが搭載されていました。

電源部は,強力なDCアンプ,ICロジックサーキット,2モーター+4ランジャー,バイアス発振回路を支えるために
カセットデッキとしては強力なものが搭載されていました。アンプ用に3電源,ロジックコントロール用に2電源という
セパレート電源構成で,それぞれに十分な電力マージンが確保されていました。特に,アンプ部にはL・R独立給電
が採用され,L・R間の動的干渉も抑えていました。

テープ走行の操作系は,LSIによるロジック回路を搭載したフェザータッチコントロールで,再生,早送り,巻き戻し
録音の相互のダイレクトな切り替えが,すばやく確実に行えるようになっていました。再生中にすぐに録音に入れる
後追い録音も可能となっていました。さらに,テープエンドから自動的に巻き戻しに入るオートリワインド,巻き戻し
が終わると自動的に再生を開始するオートプレイ,テープカウンターを利用して頭出しができるメモリー機能等,当
時としては,多彩なオート機能も装備され,組み合わせることでリピート再生等も可能となっていました。

レベルメーターは,針式のVUメーターが装備され,さらにLED5ポイントのピークメーターが中央に装備されていま
した。テープセレクターは,バイアス,イコライザー独立式で,normal,high,metalに対応し,ノイズリダクションは
ドルビー(Bタイプ)が搭載されるていました。録音入力は,当時のテープデッキらしく,LINE入力に加えMIC入力も
装備され,独立して録音レベル調整ができ,ミキシングも可能でした。

以上のように,SC-77は,オーソドックスに手堅く作り上げられたカセットデッキでした。サンスイらしいやや無骨な
がら精悍なデザインが示すとおり,派手ではないもののしっかりした低音部を聴かせてくれるカセットデッキでした。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



ダイレクト・メカをさらに生かし,
オールDCアンプ構成が
メタルの持ち味を最大限に引き出します。


◎メタルテープの性能をフルに引き出す
 オールDCアンプ構成
◎ワイドレンジ録音/再生の決め手,
 セパレート強力電源部
◎メタルの驚異的な性能をロスなく生かす
 新開発オール・フェジアロイ録音/再生ヘッド
◎最適録音への道しるべ,大型VUメーター
 +5ドット・デジタルピークメーター
◎操作軽快,LSIフルロジックによる
 フェザータッチコントロール
◎ワンアクションで録音準備完了。
 録音の失敗がないテープリードイン機構。
◎最新電子回路から生まれるマルチオート機構




●SC-77規格●

トラック形式
4トラック(2チャンネル)録音/再生
ヘッド
録音/再生(フェジアロイ)
消去(Hi-Bダブルギャップ・フェライト)
モーター
キャプスタン用:FGサーボモーター
リール用:DCモーター
ワウ・フラッター
0.038%以下(WRMS)
早巻き速度
約70秒(C-60)
周波数特性(録音/再生)
メタルテープ
 (−20VU)20Hz〜21kHz
        20Hz〜20kHz(±3dB)
 (0VU)   20Hz〜15kHz(±3dB)    
ハイバイアステープ
 (−20VU)20Hz〜19kHz
        20Hz〜18kHz(±3dB)
 (0VU)   20Hz〜10kHz(±3dB)
ノーマルテープ(LH)
 (−20VU)20Hz〜17kHz
        20〜15kHz(±3dB)
SN比
(録音/再生,シグナルレベル=3%
               THD・1kHz)
メタルテープ:59dB以上
メタルテープ,ドルビーNR ON
   5kHz以上にて10dB以上の向上
消去率(メタルテープ)
70dB以上(1kHz)
入力感度/インピーダンス
(0VU,1kHz)
MIC:0.2mV(200Ω〜5kΩ)
LINE:70mV(33kΩ)
出力レベル
(0VU,1kHz=160pwb/mm)
LINE:400mV(出力コントロール最大,47kΩ)
ヘッドホン:100mV(8Ω)
バイアス周波数
85kHz
消費電力
30W
寸法
430W×187H×304Dmm
重量
8.7kg


※本ページに掲載したSC-77の写真,仕様表等は1979年11月
 のSANSUIのカタログより抜粋したもので,山水電気株式会社
 に著作権があります。したがって,これらの写真等を無断で 転載
 引用等することは法律で禁じられていますのでご注意ください。

   
 
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