OTTO SX-P2
3WAY SPEAKER SYSTEM ¥90,000
1978年に,オットー(三洋電機。現在はパナソニックに吸収されている)が発売したスピーカーシス
テム。三洋電機は,1966年に,OTTO(オットー)のブランド名でモジュラーステレオ・DC-434を
発売し,オーディオブランド・オットーをスタートしました。そうしたオットーは,各種の機器に意欲作
を発売し,スピーカーにおいても,海外メーカー製のユニットを積極的に導入したスピーカーシステ
ムを出すなど,意欲作を発売していました。そして,1976年には,自社開発の金属系振動板ユニ
ット搭載のSX-P1を発売し,高い評価を受けました。その弟機として発売されたのがSX-P2でした。
SX-P2は,SX-P1の技術的特徴を継承し,金属系の素材を使ったユニットによる3ウェイフロア型
スピーカーシステムでした。
ウーファーは,「ポーラスメタルコーン」という金属系振動板を用いた30cm口径のコーン型でした。
「ポーラスメタルコーン」は,ニッケル素材を発泡状にした上で,さらに20μのアルミ箔を内側に接着
して,全体をコーン形に成型したもので,金属ならではの高い剛性と,音速を実現するとともに,発泡
化されていることにより紙コーン並みの十分に低いQ値を実現して,振動板として優れた特性を実現
していました。全体の形状は開口角115度の振動の明確なコニカルタイプとし,磁気回路は低歪率
化を図った11,000ガウスの高磁束密度の直径156mm,重量1.4kgの大型フェライトマグネット
で駆動されるようになっていました。また,このウーファーは,上級機のSX-P1のものをそのまま引き
継いだもので,単体ユニットでもASX-1(¥35,000)として販売されていました。
スコーカーは,37mm口径のドーム型で ,ピュアアルミをベースに両面を50%アルミナ化した3層構
造の振動板を使用していました。
トゥイーターは,30mm口径のドーム型で,ピュアアルミをベースに両面を50%アルミナ化した30μ
厚の三層構造の振動板を使用していました。
以上のような金属系振動板のスコーカー,トゥイーターと金属系振動板のウーファーという,オール金
属系ユニットの採用により,音の統一感もあり,すぐれた指向性とクリアな音を実現していました。
SX-P2は,SX-P1の設計思想,ナチュラルでスムーズな音のつながりを実現しようとする「コヒレント
・サウンド」を継承し,位相特性のすぐれたネットワークを搭載し,各ユニットを一直線にバッフル上に
レイアウトし,定位も改善していました。
エンクロージャーは,ダンプトバスレフ型で,内容積85リットルと十分な容量が確保されていました。
西アフリカ原産のブビンガ仕上げのエンクロージャーは,当時オットーが「コーヒーブラウン」を標榜す
る美しいものでした。
以上のように,SX-P2は,当時ローディー(日立)のメタルコーンとは異なる方法で,オール金属系の
ユニットにより作り上げられたスピーカーシステム,「ポーラスシリーズ」の中間に当たる機種で,画期
的な1台でした。オットーというブランドゆえか,人気モデルとはいえませんでしたが,実力派のスピー
カーシステムでした。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
発泡金属ウーファを搭載
グランド・リアリズムの世界へ誘う
Porus(ポーラス)シリーズです。
◎発泡金属ウーファ搭載
◎ナチュラリティ豊かなスコーカ
◎シャープで繊細なツィータ
◎細心な設計のネットワーク
◎内容積85Lのブビンガ仕上げのキャビネット
●仕様●
型式 | フロア型3ウェイ3スピーカシステム |
ユニット | 30cmポーラスメタルウーファ 37mmドーム型アルミナスコーカ 30mmドーム型アルミナツィータ |
最大許容入力 | 75W(150Wピーク時) |
音圧レベル | 92dB/W/m |
周波数特性 | 40Hz~20kHz |
クロスオーバ周波数 | 800Hz,5.5kHz |
キャビネット | ダンプとバスレフ型 |
寸法 | 420W×825H×375Dmm |
重量 | 31.1kg |
※本ページに掲載したSX-P2の写真,仕様表等は1978年10月
のOTTOのカタログより抜粋したもので,三洋電機株式会社に著
作権があります。したがってこれらの写真等を無断で転載,引用
等をすることは法律で禁じられていますのでご注意ください。
現在もご使用中の方,また,かつて使っていた方。あるいは,思い出や
印象のある方,そのほか,ご意見ご感想などをお寄せください。