YAMAHA YP-D10
PLAYER SYSTEM ¥128,0001977年にヤマハが発売したプレーヤーシステム。YP-D7(¥58,000),YP-D9(¥75,000)
と続く当時のヤマハのダイレクトドライブプレーヤーシステムのシリーズの中の最上級機にあたり,
各部を音質重視で仕上げたオーソドックスかつ使いやすいプレーヤーでした。モーターは,トルク1.2kg・cm,12極24スロットのDCモーターを搭載し,FG(周波数制御)サーボ
方式とクォーツPLLサーボ方式のダブルサーボ方式を採用していました。これらの高精度な制御によ
り,回転数偏差は±20ppm(0.002%)以内と低く抑えられていました。
ターンテーブルは,直径31cm,重量2.4kg(ターンテーブルシート含む)のアルミダイキャスト製で
慣性質量350kg・cm2によって,クォーツPLLの効かない高い周波数での負荷変動をおさえていま
した。また,電源部は,1100mAの電流を取り出しても定電圧(24V)を維持するという強力なもの
を搭載して負荷変動に対して,正確なレスポンスが得られるようになっていました。トーンアームは,研磨仕上げされたクロムモリブデン鋼を素材としたピボットによるジンバルサポート
方式で,垂直3mg,水平5mgと高い初動感度を誇りました。アーム本体も,純アルミ製と比べて強
度,硬度ともに2倍強というアルミ合金製の高感度S字型パイプアームで,パイプには充填材がつめ
られ共振もおさえられていました。ヘッドシェルにもアルミ合金のダイキャスト製の肉厚のものが搭載
され,トーンアームトータルの軽量化と共振の防止が図られていました。
アームの高さ調整は,エベレーションリング回転式で,リング1回転で1mm上下する精密なものを搭
載し,6mmの範囲で調整が可能でした。インサイドフォースキャンセラーは,ローラストリング・カウン
タウェイト方式で,精密な調整が可能でした。
ピックアップケーブルには,NEGLEX低インピーダンスケーブルを採用し,カートリッジからピンプラグ
までの抵抗値は0.94Ωと低く抑えられ,ピンプラグには金メッキが施されていました。
また,レコードの最終音溝にはいるとキューイングレバーが自動的に働いて静かにアームをUPさせる
「Silent ending system」(オートリフトアップ機構)が搭載されていました。これは,光電検出装置
でアームの動きを検出し,電磁ソレノイドを駆動させるアームの動きに負担をかけないものでした。
プレーヤーベースは,高密度パーチクルボードを積層した64mm厚の分厚いソリッドタイプで,外部
振動,内部振動の影響を抑えていました。また,ハウリングを考慮し,水晶発振回路及びロジック
回路からの不要輻射のシールド効果をも考慮して,裏板には1.6mm厚の鉄板を用いた防振構造
とされていました。
インシュレーターはダブルダンピング方式の大型のものが搭載され,アームスタンド・アームベース
は1kgの亜鉛ダイキャスト製の大型のもので,アームを万力のように面で締め付けて強固に固定し
た構造をとり,不要振動をおさえていました。以上のように,YP-D10は,各部をまじめに練り上げて作られた,非常にオーソドックスなプレーヤ
ーで,カートリッジの性能をしっかり引き出してくれる1台でした。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
◎秀れた回転系による正確な瞬間レスポンス
◎垂直初動感度3mg以下の高感度パイプアーム
◎防振設計の64mm厚ソリッド・キャビネット
◎完動の余韻を心に刻み込むSilent ending
モーター | 12極24スロットDCホールモーター |
駆動方式 | ダイレクトドライブ |
ターンテーブル | 31cmアルミダイキャスト2.4kg |
ワウ・フラッタ | 0.03%WRMS以下 |
SN比 | 62dB以上 |
回転数調整 | ±3% |
トーンアーム | S字型スタティックバランスジンバルサポートアーム |
取付カートリッジ自重範囲 | 2〜15g |
アンチスケーター | ローラストリング・カウンタウェイト方式 |
定格電源電圧・周波数 | AC100V・50/60Hz |
定格消費電力 | 9W |
キャビネット仕上げ | 黒檀化粧ウレタンオープンポア仕上げ |
寸法・重量 | 470W×163H×378Dmm・16kg |
※本ページに掲載したYP-D10の写真・仕様表等は1978年7月の
YAMAHAのカタログより抜粋したもので,日本楽器製造株式会社
に著作権があります。したがって,これらの写真等を無断で転載,
引用等をすることは法律で禁じられていますので,ご注意ください。
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