Accuphase C-200V
STEREO CONTROL CENTER ¥320,000
1987年に,アキュフェーズが発売したコントロールアンプ。アキュフェーズは1973年,創立時に第1号製品
としてコントロールアンプC-200,パワーアンプP-300というセパレートアンプを発売し,スタートしました。
C-200は,その性能・機能から高い評価を受け,その後,C-200S(1977年)→C-200X(1980年)→
C-200L(1984年)→C-200V(1987年)とモデルチェンジし,内容が改良・強化されていきました。そして
C-200Vはこうした「C-200シリーズ」の最終モデルとなりました。

C-200Vは,回路構成として,アキュフェーズが一貫して採用してきた全増幅段プッシュプル駆動を基本に,
C-200X以来のカスコード・ブートストラップ・コンプリメンタリーA級プッシュプル回路となっていました。この方
式は,上級機のC-280C-280Lの流れを汲むものでした。カスコード回路は,入出力間のフィードバック
が少なく,特に高域において良好な特性が得られるとともに,利得が大きく,素子の動作限界までリニアリティ
が保たれ,歪みが減少し,S/Nも改善されるなどの特徴があり,A級プッシュプルで構成することで,素特性
を大きく改善していました。
デジタル時代に発売されたコントロールアンプながら,イコライザーアンプとラインアンプはほぼ同様の回路構
成という豪華な構成となっていました。イコライザーアンプは,MC/MMの切替は利得を変える方式でしたが,
それぞれのカートリッジの特性に合わせた専用の入力回路を設け,同時に切替え,MC専用ヘッドアンプ使用
時に匹敵する性能を確保していました。また,MCカートリッジに対しては,インピーダンスによって負荷抵抗を
選択する10Ω,30Ω,100ΩのMC LOAD切替を装備していました。



電源部は,低抵抗捲き線の大容量のトロイダルトランスと72,000μF(18,000μF×4)のフィルターコン
デンサーをベースにしたもので,ラインアンプ,イコライザーアンプなど左右チャンネル各基板上に本格的な定
電圧電流回路を配置し,強化が図られていました。



ラインアンプ,イコライザーアンプがそれぞれ完全に独立した構成になっており,左右で4ユニットが上述のよ
うにそれぞれ専用の定電圧電源を内蔵するという方式で,ユニット間の干渉を断って高い安定性を誇っていま
した。4個の独立したユニットアンプはガラスエポキシのマザーボードに配置され,強固なシャーシに固定され
ていました。さらに厚手のアルミハウジングでシールドされ,筐体の頑丈なフレーム構造とあわせ,振動や外
来雑音に対処した堅牢な構造になっていました。

C-200シリーズは,伝統的に機能が充実していたことが特徴で,C-200Vも充実した機能が継承されていま
した。入力系はAD,TUNER,LINE5系統(内バランス1系統,フロント1系統),CD2系統(内バランス1系統)
TAPE3系統(内フロント1系統)の合計12系統,出力系は4系統(内バランス1系統,フロント1系統)と豊富な
入出力端子が装備されていました。他のコンポーネントの接続,テスト等に威力を発揮するとともに,プログラ
ムソースの幅が広がる時代にこそ威力を発揮するものでした。そして,フロントサブパネル方式もC-200シリー
ズ伝統のもので,LINE,TAPE,PRE OUTなど入出力端子の一部をこの中に装備し,他のコンポーネントの
テストやテープデッキの録音・再生にも便利な配慮となっていました。
C-200シリーズでは,前モデルのC-200L以来バランス伝送が搭載され,C-200Lでは初めてPRE OUTの
バランス出力が搭載されていました。C-200Vでは,さらにLINE,CDにそれぞれ1系統バランス入力が搭載さ
れバランス入・出力が揃うことになりました。
多機能を装備したC-200Vでは,入力切替やテープモニター等のファンクションのために信号経路を引き回し
て音質劣化を招くことを防ぐために,最短でストレートな信号経路を構成するために,スイッチが必要な場所
にリレーを設置し,これらのリレーをロジック回路で電子的にコントロールして切り替える方式がとられていまし
た。リレーには,密閉型のオーディオ専用リレーを用い,信頼性と長期耐久性を確保していました。

トーンコントロールも,C-200以来BASS,TREBLE独立,L・R独立のものが伝統的に搭載されていましたが
C-200Vでは,さらに調整機能をアップした「プレゼンス・イコライザー」が新たに搭載されていました。従来の
BASSにあたる40Hz/100Hz切替のコントロールツマミ,TREBLEにあたる8kHz/20kHz切替のコントロー
ルツマミに,中音域の500Hz,2kHzの2つのコントロールツマミが加わった形で,4ポイント・6種類の周波数
のコントロールが可能となっていました。本格的なグラフィック・イコライザーに使用される加算型フィルターの組
み合わせで構成され,音質重視の素子が厳選されており,挿入することによる特性・音質の劣化は最低限に抑
えられていました。さらに,OFFにすることで,信号経路から外れるようになっていました。
その他,2段階切換型のラウドネスコンペンセーター,,サブソニックフィルター,-20dB/-∞のアッテネーター
3系統のテープ相互のコピーを可能にする切換スイッチ,リバース,モノラル再生スイッチなど考えられるほとん
どの機能を内蔵していました。

フロントパネルは,C-200以来の左右対称のデザインで,ツマミ,プッシュボタンが整然と配置されていました。
そのパネルの高さ,筐体の大きさからもプリメインアンプ並となっていました。ツマミ,プッシュスイッチ類はアルミ
製で,操作した感触も高級感がありました。C-200Lまでは,オプションでウッドキャビネットが用意されていまし
たが,C-200Vでは,上級機に見られるような天然パーシモンのサイドウッドが装着された筐体となり,高級感
も増していました。

以上のように,C-200Vは,アキュフェーズの主力モデルでありロングセラーモデルであるC-200シリーズの
最終形だけあって,完成度の高い1台となっていました。高音質と豊富な機能を両立させた設計はオーディオ
機器としてバランスのとれたものでした。C-200シリーズらしいソースの情報をきちんと出し,すっきりとしたク
リアな音はアキュフェーズらしいものでした。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



アキュフェーズが誇る超ロングランモデル。
新時代のプリアンプの条件を備えて新登場。
プレゼンス・イコライザー,理想的な信号授受を
可能にするバランス伝送回路。便利な機能を
フル装備したコントロール・センター。

◎新時代の理想アンプ「カスコード・ブート
 ストラップ・コンプリメンタリーA級プッシュ
 プル」
◎アナログ・ディスクのディティールを余すと
 ころなく再現するMC/MMイコライザー
 アンプ
◎ケーブルによる音質劣化を解消したバ
 ランス入・出力回路
◎ロジック・リレーコントロールによりストレー
 トで最短の信号経路
◎4ポイント6種類の周波数をコントロールす
 る「プレゼンス・イコライザー」
◎小音量時のエネルギー・バランスを
 自動的に補正するラウドネス・コンペン
 セーター
◎充実したテープ機能
◎多プログラムソース時代に対応した豊富
 な入出力端子
◎天然パーシモンのサイドボード




●C-200V 保証特性●

周波数特性 
 CD,LINE:BALANCED INPUT

 CD,LINE,TUNER,TAPE PLAY:UNBALANCED INPUT 

 AD:UNBALANCED INPUT

1.0~400,000Hz +0,-3.0dB
  20~20,000Hz +0,-0.2dB
1.0~500,000Hz +0,-3.0dB 
  20~20,000Hz +0,-0.2dB 
  20~20,000Hz ±0.2dB
全高調波ひずみ率 0.005%(すべての入力端子にて)
入力感度・入力インピーダンス 
  AD:MM 
  AD:MC 
  UNBALANCED
  BALANCED
      入力感度                          入力インピーダンス
4.0mV(定格出力時) 1.0mV(EIA,出力0.5V時)     47kΩ
0.13mV(定格出力時) 0.032mV(EIA,出力0.5V時)  10Ω・30Ω・100Ω 
126mV(定格出力時) 31.5mV(EIA,出力0.5V時)    20kΩ
126mV(定格出力時) 31.5mV(EIA,出力0.5V時)    40kΩ(20kΩ/20kΩ)
定格出力・出力インピーダンス 
  OUTPUT(BALANCED) 
  OUTPUT(UNBALANCED) 
  TAPE REC

2.0V 50Ω(25Ω/25Ω)/XLR 
2.0V 1Ω/RCAフォノジャック 
126mV 200Ω/AD時/RCAフォノジャック
ヘッドフォーン端子 適合インピーダンス:4~100Ω
S/N・入力換算雑音 
  AD:MM 
  AD:MC 
  UNBALANCED
  BALANCED
      入力ショート・A補正                EIA S/N 
90dB(定格入力時S/N)-138dBV(入力換算雑音)   85dB 
74dB(定格入力時S/N)-152dBV(入力換算雑音)   83dB 
110dB(定格入力時S/N)-128dBV(入力換算雑音)  91dB 
97dB(定格入力時S/N)-115dBV(入力換算雑音)   91dB
最大出力レベル(ひずみ率0.005% 20~20,000Hz)    OUTPUT(BALANCED)  :8.0V/XLRタイプ・コネクター 
OUTPUT(UNBALANCED):8.0V/RCAフォノジャック 
TAPE REC          :9.0V/AD時
AD最大入力電圧(1kHz ひずみ率0.005%)     AD(MM):300mV 
AD(MC):9.5mV 
最小負荷インピーダンス     OUTPUT(BALANCED)  :600Ω(300Ω/300Ω) 
OUTPUT(UNBALANCED):1kΩ
TAPE REC          :10kΩ 
ゲイン    CD,LINE,TUNER,TAPE PLAY(UNBALANCED)→OUTPUT(UNBALANCED):24dB
CD,LINE,TUNER,TAPE PLAY(UNBALANCED)→OUTPUT(BALANCED)  :24dB 
CD,LINE(BALANCED)→OUTPUT(UNBALANCED)                  :24dB 
CD,LINE(BALANCED)→OUTPUT(BALANCED)                    :24dB 
CD,LINE,TUNER,TAPE PLAY(UNBALANCED)→REC OUTPUT        :0dB
CD,LINE(BALANCED)→REC OUTPUT                          :0dB
AD(MM)→OUTPUT(UNBALANCED)                            :54dB
AD(MM)→OUTPUT(BALANCED)                              :54dB
AD(MM)→REC OUTPUT                                   :30dB
AD(MC)→OUTPUT(UNBALANCED)                            :84dB
AD(MC)→OUTPUT(BALANCED)                              :84dB
AD(MC)→REC OUTPUT                                   :60dB
プレゼンス・イコライザー 4バンド方式
周波数:40Hz/100Hz切替式,500Hz,2kHz,8kHz/20kHz切替式
可変範囲:±10dB
ラウドネス・コンペンセーター(音量調整 -30dB) COMP1:+3dB(100Hz) 
COMP2:+8dB(100Hz),+6dB(20kHz) 
サブソニック・フィルター 10Hz -18dB/oct
アッテネーター -20dB -∞
使用半導体 117Tr,20FET,28IC,104Di
電源及び消費電力 100V,117V,220V,240V,50/60Hz,  40W
寸法・重量 幅475mm×高さ170mm(脚含む)×奥行375mm  15.5kg
※ 本ページに掲載したC-200Vの写真,仕様表等は1987年の
 Accuphaseのカタログより抜粋したもので,アキュフェーズ株式
 会社に著作権があります。したがって,これらの写真等を無断で
 転載・引用等することは法律で禁じられ ていますのでご注意くだ
 さい。

  
 
 
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