MICRO BL-71
BELT DRIVE PLAYER SYSTEM ¥98,000
1979年に,マイクロが発売したプレーヤーシステム。当時マイクロは,ベルトドライブプレーヤー「BLシ
リーズ」を展開し,BL-91,BL-71,BL-51を発売しました。さらに,後により上位のBL-101・BL-111
が発売されることになり,当時のマイクロの主力モデル群といった位置づけでした。そして,このシリーズ
の中の中間的存在であったプレーヤーがBL-71でした。

日本のアナログプレーヤーは,1972年にテクニクスが世界初のDDターンテーブルSP-10を発売して以
来,次第に主流がDDプレーヤーとなり,1980年頃には,ほとんどの日本のアナログプレーヤーがDD方
式となっていました。マイクロも1970年代中頃には,多くのDDプレーヤーを商品化していましたが,1980
年代に向けて「BLシリーズ」を展開し,ベルトドライブ方式のプレーヤーに主力を移して,多くのプレーヤーを
商品化していきました。
BL-71も,重量のある慣性質量の大きなターンテーブルをベルトでリモートドライブするという方式の良さを
生かした設計や作りが特徴となっていました。

ターンテーブルは,アルミ製・重量3.2kgで,外周部に厚みを持たせ,550kg・cm2の慣性モーメントを実
現していました。すぐれた金属加工技術を生かした,マイクロ精機ならではのターンテーブルでした。この重
量級ターンテーブルの外周部をベルト駆動することによってしっかりと回転エネルギーを確保し,トランジェン
トな負荷変動にも負けない安定した回転を実現していました。



重量級ターンテーブルを支えるシャフト部には,直径16mmという極太のステンレスシャフトを搭載していまし
た。このステンレスシャフトは,熱硬化処理,研磨を経た後,軸受メタルと一対の組み合わせでさらに研磨し
たもので,鏡面仕上げの精度は真円度0.4ミクロン以内の精密なものでした。軸受メタルは,特殊合金を
使用しており,加えてオイルバス方式の潤滑によって,いっそうの円滑性を確保し,経年変化もほとんどない
ものとしていました。そして,このシャフトアッセンブリーは,キャビネットに強固に固定されていました。



BL-71は,DD主流の時代にあえてベルトドライブ方式を採用していました。ベルトドライブ方式は,ターンテー
ブルの下に駆動用モーターがなく,カートリッジの発電機構がモーターからのフラックスの影響を受けにくいとい
う利点や振動が伝わりにくいという利点があり,採用されていました。モーターには,小型のFGサーボモーター
が使用され,ベルトには,カーボン材を混合し,経年変化のほとんどない特殊ベルトが採用されていました。



トーンアームには,新開発のスタティックバランス型のトーンアームで,回転軸の構造は,質量集中方式を採用
して高感度を実現し,部分共振を抑えた設計になっていました。内部配線は,無酸素銅同軸ケーブルを採用し,
伝送ロスを抑えて外部誘導雑音をシャットアウトして,音楽の情報量をしっかり伝えるようにされていました。そ
して,真鍮材の大型マウントベースでキャビネットに固定されていました。

プレーヤーキャビネットは,振動モードの異なる素材を巧みに組み合わせた積層ボードで,重量級ターンテーブ
ルと大径ステンレスシャフトの組み合わせに対応できるだけの剛性と重量を備え,大型で二重構造のインシュ
レーターとあいまって,外部振動に強い設計となっていました。

以上のように,BL-71は,マイクロが持ち前の高精度加工技術,ベルトドライブプレーヤーのノウハウを生かし
正攻法でベルトドライブ方式の良さを追求したプレーヤーシステムでした。しっかりと物量を投入し,デザイン,内
容ともバランスのとれた作りの使いやすいプレーヤーシステムでした。


MICRO BL-51
BELT DRIVE PLAYER SYSTEM ¥78,000


BL-71には,共通点の多い弟機のBL-51が発売されていました。ターンテーブルはやや薄く軽量の
(とはいえ重量1.8kg)ものとなり,アームも同じ新開発のスタティックバランス型ながら,少しアーム
長が短いものとなっていました。しかし,キャビネットやステンレスシャフト部,キャビネットなどは共通
で,コストパフォーマンスが高められていました。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



プレーヤーづくりの原点に立ち返る
楽音の潤い,滑らかさのBELT DRIVE

基本性能の充実は
BL-71の「音楽」そのものです。

◎慣性モーメント550kg-cm2の威力で
 トランジェントな負荷変動を一掃。
◎このクラスでは類のない
 直径16mmの大径ステンレスシャフト
◎モーターからのフラックスを
 受けにくい,リモートドライブ
◎回転軸にマスを集中した
 新開発・高感度トーンアーム搭載
◎積層ボードに,
 大型,二重構造のインシュレーター




●BL-71・BL-51規格●

   BL-71 BL-51
駆動方式  ベルトドライブ  ベルトドライブ 
モーター  FGサーボモーター  FGサーボモーター 
回転数  331/3・45rpm  331/3・45rpm  
ターンテーブル  アルミ製直径30.6cm重量3.2kg  アルミ製直径31cm重量1.8kg  
慣性モーメント  550kg・cm2   
回転ムラ  0.025%以下(WRMS)  0.025%以下(WRMS) 
SN比  60dB以上(JIS)  60dB以上(JIS)  
消費電力  1.5W,AC100V  1.5W,AC100V 
回転速度可変範囲  ±3%  ±3%  
トーンアーム  スタティックバランス型  スタティックバランス型 
有効長  237mm  222mm 
針圧可変範囲  0~3g  0~3g 
適合カートリッジ自重(シェル含む)  11.5g~21g  10g~18.5g 
外形寸法  510W×400D×155Hmm  510W×400D×155Hmm 
重量  13kg  11.7kg 
※本ページに掲載したBL-71,BL-51の写真・ 仕様表等は
1983年4月のMICROの
カタログより抜粋したもので, マイクロ
精機株式会社に著作権があります。
したがって,これらの写真
等を無断で転載,引用等をすることは法律で禁じ
られています
ので,ご注意ください。

 
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