PART3
オープンリールから始まった国産テープデッキの歴史。
それはカセットデッキの時代になり世界一の水準に達
したと言えるでしょう。何より,本来,会話記録用程度
にしか考えられていなかったカセットテープをハイファ
イ録音に使えるほどの性能に引き上げたのは,国産
メーカーのテープデッキたちでしょう。そんなテープデッ
キの名機,銘機を振り返ってみましょう。取り上げた機
種が多くなってきたので表示の時間等を考えて3ペー
ジ目に入りました。ごゆっくりご覧ください。
Victor DD-V9
ビクターが1982年に発売した3ヘッドデッキ。当時各社が3ヘッド
デッキのリバース化に取り組んでいた時期で,ビクターも一連の3
ヘッドデッキのシリーズのリバース化を実現して,発売しました。
DD-V9はその中の最上級機でした。
YAMAHA TC-800GL
ヤマハが1976年に発売したカセットデッキ。外国人デザイナーに
よるスラントパネルの個性的で美しいデザインが印象的な1台でし
たが,中身もオーソドックスにしっかりと作られたデッキでした。
DENON DR-750
1977年にデンオンが発売した高級デッキ。同社のオープンリール
デッキのデザインイメージを持った縦型のスタイルが一つの特徴で
した。2ヘッドながら高性能を誇り,2ヘッドで最高峰をめざした高級
機でした。
Aurex PC-6030
1976年にオーレックス(東芝)が発売した高級デッキ。当時のオー
レックスの最高級機として当時の最新技術を投入されて発売された
デッキでした。縦型の筐体が特徴的ですが,2ヘッドで徹底して音質
を追求した高性能デッキでした。
ONKYO TA-9X
1981年にオンキョーが発売した高級デッキ。デッキの分野では
あまりメジャーとはいえなかったオンキョーが突如発売した本格
的3ヘッドデッキで,テープの走行精度等,当時の最先端を行く
内容を持って発売され,驚かされたものでした。
Nakamichi 1000
1973年に中道研究所(現ナカミチ)が発売した超高級カセット
デッキ。世界で初めてカセットデッキの3ヘッド化を実現した画
期的な1台で,ナカミチのその後の躍進のスタートとなった1台
でした。
Lo-D D-4500
1973年にローディー(日立)が発売した高級カセットデッキ。
ナカミチに続いてカセットデッキの3ヘッド化を実現した名機
として有名です。世界初のコンビネーション3ヘッドを開発・
搭載し,その後のカセットデッキの3ヘッド化の流れを大きく
進めた画期的な1台でした。
AIWA AD-F600
1980年にアイワが発売したカセットデッキ。1ウェイ,3ヘッ
ドと非常にオーソドックスな作りのカセットデッキですが,アイ
ワ初のデュアルキャプスタン採用機で,データ数値以上にす
ぐれた走行性能を持った,隠れた名機的な1台でした。
Aurex PC-4280
1977年にオーレックスが発売した可搬型のカセットデッキ。
生録(死語?)用途を前提としたデッキで,独自の箱形スタイ
ル,ナカミチ等に見られる完全独立型3ヘッド搭載など,非常
に特徴的な1台だったと思います。
AKAI GX-F95
1981年にアカイが発売した高級デッキ。3ヘッド,3モーター
の贅沢なメカニズム系を持ち,コンピュータによるオートチュー
ニングの搭載など,最先端の内容を誇りました。シーリングパ
ネルを採用したすっきりしたデザインも魅力的でした。
LUXMAN 5K50
1979年にラックスが発売したカセットデッキ。アンプを中心に
製品を展開していたラックスが本格的にデッキの分野に進出し
発売した超高級カセットデッキ。走行系,アンプ系など贅を尽く
した作りは,ラックスらしいこだわりが感じられました。
OPTONICA RT-9
オプトニカ(シャープ)が1979年に発売したカセットデッキ。「エ
レクトロニック・テープ・プロセッサー」とシャープが称していた
RT-9は,操作系により複雑な制御を可能としたLSIを搭載して
いたことが大きな特徴で,自動選曲のために専用ヘッドを搭載
しているなど,個性的な1台でした。
Nakamichi 680ZX
1979年にナカミチが発売したカセットデッキ。1000シリーズ
700シリーズの技術を受け継ぎ,アジマスの自動調整機構を
備えた高級機で,当時としては驚異的ともいえる20kHzを超
える高域性能を実現していた高性能デッキでした。
MARANTZ SD-930
1983年に,マランツが発売したカセットデッキ。音質重視型の
1ウェイ3ヘッドデッキで,ナカミチ以外で初めて(あるいは唯一)
自動アジマス調整機構を搭載したデッキで,マランツの高いデッ
キ技術を示した記憶に残る,しかしレアな名機でした。
Aurex PC-X88AD
1980年にオーレックス(東芝)が発売したカセットデッキ。オー
レックス自慢のアドレスデッキで,しかもアドレスデッキ初の3ヘッ
ドデッキでした。アンプ部とアドレスの性能の良さか,すっきりとし
た繊細な音が魅力的な1台でした。
AIWA AD-F80
1978年にアイワが発売したカセットデッキ。早くからカセットデッ
キの分野で技術の高さを示し数多くの機種を送り出していたアイ
ワの当時の最高機種としてオーソドックスに作り上げられた3ヘッ
ドデッキでした。2針式のアナログメーターがいま見てもかっこいい
1台だと思います。
SONY TC-D5
1978年にソニーが発売した可搬型カセットデッキ。「デンスケ」
の商標で,可搬型デッキの分野で圧倒的な強さを発揮していた
ソニーが,それまでのものに比較して大幅な小型化を実現する
とともに,その小型の筐体で高性能な録・再性能を実現した名
機でした。
AKAI GXC-570D
1975年にアカイが発売した,当時の同社の最高級カセット
デッキ。既にGXヘッドによる3ヘッド,デュアルキャプスタン
方式など,同社の高級デッキの基本技術が搭載された高性
能デッキでした。水平型のデッキをそのまま立てたようなデザ
インも特徴的でした。
TEAC A-450
1972年にティアックが発売したカセットデッキ。水平型なが
ら,操作部を前面に配置し,コンポーネントデッキとして,シ
ステムの中に位置づけて使うことを意識した設計が特徴的
でした。ドルビーNRを最も早く搭載したカセットデッキで,そ
のために高められた各部の性能は,当時の時代の水準を
大きく超えた優れたものでした。
SONY EL-7
1976年にソニーが発売したエルカセットデッキ。「オープン
リールの音をカセットで」のうたい文句で登場したエルカセッ
トデッキの第1号機で,カセットの上位規格として開発された
技術は優れたものでしたが,種々の理由により普及するに
は至りませんでした。しかし,カセットにはない余裕ある音は
アナログテープデッキとして優れたものでした。
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